Q&A
1.Prerequisiteとは何ですか?
1.Prerequisiteとは、ある科目を受講するときにそれ以前に単位を取得しておかなければいけない科目のことです。例えば、この学科で言うと「ロボット設計制作論および演習」シリーズはIからVまでありますが、これらは順番に受講するように計画されていますので、IIを受講するときにはIを受講していなければなりません。ですから「ロボット設計制作論および演習-I」は「ロボット設計制作論および演習-II」のPrerequisiteになるわけです。ちなみに、Prerequisiteに指定された科目の内容は当然すべて理解していることを仮定して授業が進められるので、期末試験が終わったらすべて忘れてしまうような勉強法では、付いていけないという結果に終わるのが落ちです。
2.「数学を英語で教えている」と聞きましたが、本当について行けるか心配です。大丈夫でしょうか?
2.もちろん最初は大変です。学生さんからの質問もたくさん出ます。しかし、英語の授業と違って、実際の現場で使う言い回しが繰り返し出てくるので、じきに慣れてしまいます。それこそ、この学科の「習うより慣れろ」を実行していることになります。それに、試験の最中でも質問がOK!ですから、わからない言い回しはその場で質問することができます。ただし、技術用語は聞いても教えてもらえません。そのためにA4のCRIB-SHEET(意味を調べてみてください)を一枚用意して試験に持ってくることができますから、そこに書いておけばいいのです(数学基礎、微分積分など)。
3.「ロボットと数学は密接に関係している」と聞きましたが、本当でしょうか?
3.ロボットを思い通り動かすためには、数学の基礎が不可欠です。逆に、数学を勉強する時にロボットの動きを例に使うと、数学の要素を自然に理解でき、数学の本質を簡単にマスターできます。例えば、数学の中で扱う関数の連続性などは、ロボットの動きの滑らかさ、などとして考えると具体的にわかります。微分・積分は、ロボットの運動する際の、速度・加速度とも関連付けられることで使えるようになります。このように、数学がよくわかると、ロボットにもっと面白い動作をさせることが可能になります。そして逆に、ロボットを使って勉強していると、数学の面白さがよくわかります。
4.未来ロボティクス学科では、ロボットだけしかやらないんですか? 今までロボットを作った経験は無いんですが、大丈夫でしょうか?
4.ロボットはたくさん作ります。今年の一年生たちも、秋までにすでに3台作っています。でも、一年生の中で、入学前にオリジナルなロボットを作った経験がある学生は、ほとんどいません。インタビューにもありますが、まったく工作の経験が無い学生が、楽しんで作っています。そして、これがわれわれの一番の売りなのですが、ロボットを作って動かすことにより、電気や数学が具体的にわかります。つまり、ロボットを具体的な例として使うことによって、その周りの様々な学問を、知らず知らずに身につけてしまえるということです。
5.ロボティクスを勉強すると、どういうところで役に立つんですか? どんな仕事に就けますか?
5.実は、そういう質問を待っていました。ロボットには、様々な技術が、総合されて入っています。例えば、機械系のハード技術、電気・電子系の技術、プログラミングのソフト系技術、アルゴリズム作成の理論、さらにはネットワーク技術などが必要です。そういうわけで、卒業後の進路は、大変バラエティに富んでいます。例えば、教授陣の研究室における今までの就職先には、fuRoやソニーのロボット系ももちろんありますが、日立やキャノンなどの家電会社で、電気製品の開発、パナソニックで液晶の研究、トヨタ、ホンダ、日産などの自動車会社で、車体設計や足回りなどの開発、セガ、コナミでゲームの企画・制作、変わったところでは、弁理士や、銀行、証券会社などでシステム系の開発、などの文系就職もあります。諸君はどこに就職したいですか? どんな仕事をしたいですか?
6.女子学生は居るの?
6.居ますが少ないです。1,2年生あわせて8名です。
7.女子学生は未来ロボ学科でやっていけますか?
7.うーん、絶対数が少ないので大変だと思います。しかし、女子学生のできることは沢山あります。ロボットといっても、これからのロボットは人間の日常生活の場にどんどん進出してきます。そんな時に本当に大切になるのは人間とロボットの付き合いをスムーズにする技術です。具体的には感性まで含めた人間との付き合い方をロボットに組み込まなければなりません。こういう研究は介護の現場で役立つロボットを研究している中野教授や富山教授のところで実際に行われていますが、これにはガンダム志向の男子学生ではダメなんですね。ぜひとも女子学生がその感性を生かしてロボットの「やさしさ」を作ってほしいですね。外に目を向けてみると、近頃ではロボット関連の女子学生・研究者が増え、活躍していて、彼女たちの活動が大変目立つようになってきています。例えば、「Women in Robotics」というグループがあり、女性ロボット研究者が集まってお互いに刺激しあい、助け合って活動しています。
「未来ロボでやっていけるか」という問いには、確かに大変な所はあるけれどもちろんやって行ける!と答えます。実際彼女たちは学生プロジェクトに参加するなどして楽しく、たくましくやっていたり、成績上位を占めていたりしています。(ちなみに津田沼にできる21階建ての新棟のトイレの数は男子女子同じですし、女子トイレにはパウダールームも!)そういう訳で、女子学生を大いに増やしていきたいのですが、何かいい案はありますか?
8.女性の教員は居ないのですか?
8.残念ながら今は居ません。強調したいのは「今は」という所です。上に述べたようにロボットの研究には女性が持つ視点がとても大切ですし、これからはもっともっと大切になって来ます。女性の教員が居ることは贅沢ではなく必須となると考えています。これから未来ロボティクス学科は大学院も作っていきますし、そのためにも教員の数を増やさなければなりません。その中で積極的に女性の教員を獲得しようと考えています。
9.Robo-Oneみたいなことしかやらないんですか?
9.そんなことは無いですよ。確かにロボカップやロボコン、Robo-One等はロボットの技術を示すとても良い機会ですから、未来ロボティクス学科としても積極的に参加しています。しかし、それらはロボティクス研究の氷山の一角に過ぎません。ここが強調したい所なのですが、ロボカップにおいてよい成績を挙げるためには例えば非常に優れた画像処理が必要なのです。研究としては画像処理技術、特にロボットという動き回っているカメラからの画像を用いた優れた画像処理技術、が必要で未来ロボの林原先生のチームはそれを持っているおかげでよい成績を挙げています。言いたいことは林原先生の研究は画像処理技術(だけではないですけれど)だということです。その他にも音声処理の研究(いつまでもキーボードでロボットに命令を出すのはイヤですよね)や人工知能の研究(ロボットにいちいちすべて教えるのはたまらない)など、いくらでもあります。だから就職でも様々な職種に応用が利くのです。
10.未来ロボのカリキュラムは他とは違うと聞きましたが、具体的にどう違うんですか?
10.一番の特徴は一年生から沢山の専門科目を用意していることですね。基本的な考え方は、1,2年のカリキュラムを通してロボット関連の5個の分野(次の項目参照)に対してのイントロをやろうということです。しかも、それを実技を伴ってやるので、本当に使える、身につける学習ができる、という所です。そのおかげで、理論的な学問をするかたわら、就職の際に企業の実戦的な技術者として重視されている設計製作の能力も身に付けられます。(しかも一年生から!)例えば、入学当時はソフトをまったく知らなかったある学生が下にあげてあるようなソフト(床や壁で弾むボールのシミュレーション)を一年生後期には書き上げています。
一般的に言って、工学部は授業以上に研究室で学ぶことが非常に多い(大学で一番楽しいのも研究室での活動です)のですが、通常は4年生にならないと研究室に配属されません。しかし、未来ロボは3年生の4月から研究室に配属されます。もちろん3年生はまだ授業(座学)を取っていますが、3年次の午後は殆ど授業がなく、研究室での研究活動が中心になります。これにより、さらに充実した学習・研究が出来ます。
11.未来ロボティクス学科は機械工作のようなハードウエアだけですか?
11.イエイエ、決してそんなことはありません。そもそも、機械ハードウエアはロボットを考える上で5個の大きな要素技術(機械、電気・電子、計算機・プログラミング、センサー技術、動作・行動生成)の一つ、つまりロボットの1/5でしかありません。電気・電子ではモーターを動かす電源回路や信号処理のための論理回路などアナログとディジタル回路の両方の回路論やトランジスタなどの半導体素子論が必要です。計算機・プログラミングでは計算機の中で計算を行えば済んでしまうのではなくその外とつながりを持つのできるプログラミングが必要になってきます。また動いている対象を扱わないといけないので実時間プログラミングも必須です。センサー技術は現在大きな研究項目になっていますが、例えば画像処理を使ってロボット周りの地図を作る技術や相手の人間の感情を見分ける技術など(この感情認識には音声も使えますね)が注目を集めています。さらに、動作・行動生成においてはモータの動きを制御する技術に始まって、人工知能の技術、それも今までのような計算機の中だけで使えるようなものではない実用的なもの、が欠かせないものとなってきます。そして忘れてはならないのは、以上ほとんどすべての技術の裏には数学があるということです。
一つのロボットがきちんと動くためには様々な技術が総合的に統合されていなければなりません。未来ロボティクス学科では1,2年生を通して、そういった様々な技術に触れる機会を作り、それぞれの学生がどの分野に興味が持てるか、どの分野に進みたいか、を自信を持って判断できるようにするカリキュラムを組んでいます。だから一年生から様々な専門の授業があるのです。あなたはどの分野に進みたいですか?(もちろん数学、という答えもありますよ!)
12.私はロボット作り(機械工作)が大好きです。それだけではいけませんか?
12.うーん、それだけではアマチュアの域を超えられないね。未来ロボティクス学科を卒業してからの進路の一つには、そういったロボットを作る専門家、つまり他の技術者や研究者から依頼(注文)されてロボットを作る職業もあります。ですが、我々未来ロボティクス学科の教員はみんな経験していることですが、作っている対象に対する知識を十分持っていないと良いものは作れない、という事実があります。特にロボットのような総合技術の申し子のようなものは、工作だけしか分からない、のでは絶対に良いものはできません。少なくとも他の分野の基本は理解できるようになっていることが必要です。未来ロボティクス学科が目指しているのは、ただの工作屋ではなくまさにそういう基本的な理解を持った工作技術者(プロ)、を養成することです。
いっぽう、これはロボットの他の要素技術、例えば音声処理、を専門にしたい学生さんにとっても逆方向ですが同じことが言えます。ロボットの機械的な構造や動きが理解できないと良い音声処理などできないのです。(例えばモータ音はどうする?)だから、機械工作は苦手という学生ももちろん未来ロボティクスには大勢いますが、それらの学生も基本的なロボ作りの経験を1,2年生のうちにできるようになっているのです。いずれにせよ、ロボティクス技術にはどんなものがあるのか、を大学が始まってからできるだけ早く紹介し、自分にとって様々な技術のうちどれが合っているのかを見極めるチャンスを作ってあげようというカリキュラムにしてあります。
機械工作大好き?良いじゃないですか。自分の工作の技術を磨いて、同時に学科が提供する他のロボティクス技術の基本教養も忘れずに身に付けて、将来は注文の多く来る機械工作技術者になってください。
13.授業についていくのが大変だと聞きました。不安です。
13.確かに1年生の最初からこんなに専門の科目が入っている学科は他には無いでしょう。ですから、大学に入った最初から専門の勉強ができる(ロボットが作れる!)というすごいアドバンテージがありますが、一方では最初から真剣にやろうよ、ということもあります。でも、他の学科と違って、ほとんどすべての科目で授業(座学、と言います)には演習の時間が付いていて、そこでは先生だけではなくTA(大学院生のお手伝いさん)やSA(学部のお手伝い)が質問に答えてくれます。ので、それをうまく使えば、つまりどんどん分からないことを質問すれば、授業についていくのも大変ではないですよ。ちなみにこの学科の先生は、本気で「質問しろー」というタイプの人間ばかりです。質問はとってもしやすい雰囲気ですよ。
それから、どの授業もそうですが、毎回積み上げていって一学期にここまでできるようにしよう、という形で行われているので、授業を休んでしまうとついていくのが大変になります。休んだ時には休んだ回の授業の内容をその次の授業までに知っておく必要があります。これをサボっていると痛い目に会うことになるのです。毎回のことならそれほどの量ではないので追いつくのは簡単ですが、それをしていないと次の回の授業も分からないので、結局二回分後から追いつかなくてはならなくなります。そこで、教訓は、休まないようにしようねえ、です。
14.工作機械(ロボットを作る環境)はどのくらいそろっている?
14.芝園キャンパス11号館3階を見てください。他の大学にはありえない ほどの充実ぶりです。具体的にはボール盤、フライス盤、旋盤、バンドソー、などがそれぞれ10台ずつ、それにCADと直結した基板製作機やラピッドプロトタイピングマシン(光硬化性樹脂を使って様々な形状の部品を作る装置、高いんだよ!)、さらに実験用の産業用ロボットが10台などなどが用意されています。これだけでもすごいんだけれど、2008年2月に竣工予定の芝園新棟にはもう一つ工作場ができる予定で、そこには新たに現在11号館には無い工作機械を入れる予定です。その他にも大学が用意している
クラフトハウスがあって、そこにはより大型の機械や精密な機械が揃っています。実はまだあって、津田沼キャンパスにも2008年9月完成予定で新棟が建設されているけれど、その中にも工作室ができます。そこには研究用にも使えるような高級な機械類、さらにモーションキャプチャシステムや高速カメラなども入る予定です。もちろん津田沼キャンパスにも大学が用意している
工作センターがありますから、工作環境は他には例が無いほど充実しています。
余談ですが、工作機械などのハードだけではなくソフトも充実しています。制御系を設計するためのMablab(自分で買ったらとてつもなく高い!)やプロ仕様の設計用ソフトAutoCAD、さらにマイクロソフトのライセンスがあって多くのMS系ソフト、などが学生在学中は自由に使えます。