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6/23オープンキャンパス報告

2019年6月23日、千葉工大ではオープンキャンパスがありました。未来ロボティクス学科ではロボットの動態展示やロボット製作の体験実習、研究室巡りスタンプラリーなど様々なイベントを行いました。

体験演習の様子

希望者に重力を利用して歩くロボットを作っていただきました。92名のご参加がありました。ロボットは持ち帰りいただきました。

ロボットの展示

体験演習の行われた614教室では、青木研究室と王研究室、ロボカップのロボットを展示しました。また、各研究室では日頃の研究で用いられているロボットや研究成果の展示をしました。

学科や入試の説明会

オープンキャンパスでは入試や入学後の生活について、教員自らが解説を行います。

体験演習は上記のように92名のご参加、ご来場者数は推計ですがその数倍でした。ありがとうございました。次回のオープンキャンパスは8月3日です。

「インタビュー 藤井先生に聞く」先生と恩師について II

前半からの続きです。

内湾の船渠から社会という大海へ就航

藤井先生:研究はしたかったのです。大学に入って今も尊敬している新井民夫先生という恩師がいて、その先生が本当に素晴らしい方だったので、大学の教員もいいのだろうなって思っていたのですね。それ以上に研究やりたいなって思いもあって。ただ当時、すごい苦学生でお金がなかったんですね。

訊き手:そうでしたか。切実な問題ですね。どのようにして工面されたのですか?

藤井先生:このままじゃ大学続けられないぞ、みたいな状態でした。とにかく大学を続けるために毎日バイト漬けでした。バイトが終わり夜23時ぐらいに研究室戻って研究するみたいなことをずっとやっていて、体を壊してしまい、もう就職しようと思って修士を卒業して就職しました。

当時、新井先生からは博士進学のお声かけを頂いていて、海外留学先とかも紹介してくださっていたのですけど。その時は、目先の経済的な部分が頭の大半を占めていたので、結局は勤めました。

訊き手:うーむ。そうでしたか。差し障りがなければ就職先はどちらだったんですか?

藤井先生:ソニー株式会社です。

訊き手:社会人は何年ぐらい経験されたのですか?

藤井先生:6年間いました。

訊き手:結構長くいらしたのですね?なんでソニーに6年間お勤めして大学に戻ってこられたんですか?

藤井先生:最初はソニーの研究所に勤めていたんですね。「好きな研究をしながらお金もらえるならこんなにいいことはない」って思って。就職して間もなくリーマンショックが勃発して。

訊き手:ありましたね、2008年の秋でした。しかしすごいタイミングですね。

藤井先生:はい。それで、どの会社もそうだったのだと思うのですが、採算が取れない研究部門などは縮小される風潮でした。私が入所した研究所も1年で無くなってしまって、そこから他の部署に社内異動しました。

訊き手:波乱万丈な話です。いきなり荒波をかぶりましたね。

藤井先生:移った先でソニーの新規事業を立ち上げるという話になり、いろいろあって結果としてできたのがタブレット端末でした。当時はアンドロイドの端末が世の中でまだ珍しい頃で、「ソニータブレット」というものをつくるときに一緒にやらせていただきました。

訊き手:なるほど。

藤井先生:乗り掛かった舟なので、結果が出るまで、製品の第一号機が出るまではいようと思って。

訊き手:そこまでを一区切りの目標として退職しないで頑張ろうと?

藤井先生:そうですね。何かを作り上げた、ってところまでは居ないと出て行っても恥ずかしいなって思って。

訊き手:なるほどー。

藤井先生:研究所に1年いて、2~3年かけて製品が世に出たのですけれど、その後も、会社合併や出向など色々バタバタしてしまって。グループ会社への転籍と30歳になる節目が重なったので、えいやで退職しました。

訊き手:退職をするにあたって次の道は決めていらっしゃったんですか?

藤井先生:明確な人生設計は無かったのですけど、やっぱり研究をしようと思って日本国内のいろんな研究所のことを調べました。当時私も無知だったので、恥ずかしながら後でそういうものなのだなってわかったのですけど、研究機関の中途採用ってだいたいどこも博士の学位を持っていないと入れない。そりゃあ、当然ですよね。そして、私は持ってないわけで。じゃあ博士を取りに戻ろうって思って、人事に「ソニーにいながら博士を取らせてくれ」と相談したら「勝手にやってくれ」って言われて。その時に、会社からはサポート的なものが受けられないとわかりました。

訊き手:支援したくてもそれが出来ない社会状況にあったと思います。厳しい時代でした。

藤井先生:はい。論文博士を取るにしても、まだ論文も無いですし、研究も初めのうちはやっていましたけど、途中から開発に回っていたので。もう一度大学に入り直すのがいいかな?って思いました。ただ、ソニーに腰掛けて学位をとるにしても、平日は休めませんし土日に授業はないですし。社会人博士という手段も選べなくて、辞めることを選択しました。

訊き手:新井先生のもとに戻ったんですか?

藤井先生:そうですね、新井先生のところに戻りたかったのですが、新井先生がもう2、3年前に東大を退職されていたタイミングで、それで新井先生のところで博士を取って教員をやっている先輩教員のところにお世話になりました。

訊き手:そうでしたか、そこでは何年ぐらい?

藤井先生:そこでは博士を3年で取得して、運よく翌年に助教にしていただいて、また次の年に講師にしていただき1年間勤めました。結局は、東大に戻ってからは正味で5年間、前職の研究室にお世話になってこちらにきました。

訊き手:なるほどー。そうなんですか。既にそうかもしれませんけどサラリーマン時代の経験がこれからいろんな場面で生きてきそうですね。

藤井先生:それは本当に東大の中でも共同研究とかする上で、企業側の論理と言いますか、企業側にいた人間なのでわかる部分も多々ありましたね。

訊き手:そうですよね。

藤井先生:そういう意味では、社会人経験のおかげで活動の幅は広がったと思います。

訊き手:研究者として研究重視でいいという時代もあった。今は研究者という立場と教員という立場で、学生との関わりのバランスが大きく変化してきているのかなと感じていますが、そういう意味でも企業の中でプロジェクト等、やってきたことを今度は学生とのかかわりの中で大いに生かせていけるのでは?

藤井先生:そうですね、私にとってそれはひとつの強みかなって思っています。

訊き手:先日、感じたんですけど藤井先生が新しく研究室に配属になった学生さん達との関わりを見ていて楽しそうにやっているなって思ったんですね。先生ってとにかく多忙ですし、用件を伝えたら、ぱっていなくなっちゃうイメージなんですが、学生さん達の行動を楽しそうに見ていらしたんで、来たばかりに見えないなって。すごくフレンドリーだった印象ですね。

藤井先生:私がっていうより学生の方が親しくしてくれています(笑)

恩師とは航海における羅針盤なり

訊き手:あのー少し話を戻して、大学時代の恩師である新井先生ってどんな方なのか知りたいんですが。人生の影響を受けた先生の人となりや、どういった部分に影響を受けて先生って大きいなって感じられたんですか?

藤井先生:なんでしょうね、私がいた学部は4年生から配属されるのですけど、これは研究室にまだ配属されていないときの話です。新井先生の講義を受けに行ったのですね。で、何となく疑問に思ったことがあって講義が終わってから前の方に質問に行くと、なんかすごく丁寧に接してくださって。そこまでは他でもある話で普通はそこで終わるのですけど、ちょっと来なさいって研究室まで連れて行ってくださって、本を1冊貸して下さったんですね。「君はこれで勉強をするといいよ」って。

訊き手:それは質問に関連する本ですか?

藤井先生:はい、「君の話を聞いているとまずはこれを勉強した方がいいと思う」といって貸してくださったんです。

訊き手:なるほどヒントをくださったわけですね?

藤井先生:はい。当時、私たち学生からすると東大の教授の先生はすごく偉くて遠い存在だったので、そこまでしてくださったことにまず感動したっていうのが一つですね。

訊き手:しかも大好きな本を貸してくださった(笑)

藤井先生:研究室に所属してからも、研究のことはもちろん見てくださったのですけど、当時の私は体調を少し崩していて、それを本当に自分の子供のように心配してくださって。

訊き手:そうだったんですか。

藤井先生:はい、なんか妙に動悸が激しいというか。それで、そのことを少しお話したときに、その場でご自分の知り合いのお医者様に電話をして予約まで取ってくださったんです。

訊き手:えー。それはすごい。

藤井先生:それで「ここは心臓の外科医の名医だからここに通いなさい」って通わせてくださって。結果として、心臓のちょっとした欠陥が発見されて適切な治療を頂いて。おかげさまで今は元気です。

訊き手:感激ですね。その人格的な部分に影響をされたことが大きいんですね。

藤井先生:はい。研究の意味でも、もちろんすごく尊敬しているのですけども。実は先日、新井先生の70歳の記念パーティーに出席して、その時のことなのですが、パーティーの最後のスピーチで「学生に対しては何ができるわけではないから、取りあえず誠心誠意接することだけを心掛けてきた」って自然体でおっしゃるんですね。あーやっぱり、そういうことをちゃんと言える先生は素晴らしいな、って改めて教えていただきましたね。

訊き手:すごいですね。重みのある一言。

藤井先生:はい、すごく尊敬しています。

訊き手:それはよき恩師と出会えましたね。「千葉工大の先生になりました」っていうことを報告されましたか?

藤井先生:はい。ただ、そこはなかなか恐れ多いのもあって、言うタイミングを逃しているうちに、結局バタバタしてご報告が遅れたところもあるのですが。

訊き手:そうですか、よくわかります。

藤井先生:すごく尊敬しているだけに、「私ごときの近況」みたいなことはなかなか報告しづらいです。

訊き手:じゃあ「半径5メートル以内は近寄れない」みたいな感じですか?

藤井先生:「師の影を踏まず」みたいな感じです(笑)

訊き手:なるほど(笑)必ず「恩師はどなたですか?」って先生方に聴くんですけど、必ず一人は大事な恩師という大きな存在がいらっしゃいますよね。そんな藤井先生ですが、学生さんと接する場面がこれから更に多いと思うんですけど、接するにあたって心掛けていることはありますか?

藤井先生:東大で後輩をたくさん持たせてもらったのですけど、その時からずっと思っていたのは一人一人とちゃんとコミュニケーションをとることですね。ルールを決めて、従わせておけばいいという先生もいると思うのですけど、学生一人ひとり人間なので例外だらけですよね。そういう一般的な総論で、対応すべきではないと個人的には思っていて、人数が増えてくればもちろん大変だと思いますが、それでも折角縁があったのですから、やっぱり総論ではなくて各論で一人一人の学生に接していきたいなって思っています。私もそうやっていただいた記憶があるので、そこは守りたいなって。

訊き手:研究室から将来活躍をしていく学生さんが陸続と出ることが楽しみですね。彼らがどのように伸びていくかわからないし、どのよう可能性を秘めているかわからないですからね。

藤井先生:はい、その通りだと思います。

訊き手:研究室では特にこれっていうテーマはもうお考えですか?

藤井先生:東大でやってきたテーマはもちろんあるのですけど、それをそのままこちらで続けられるかというと、共同研究のからみや機材的な問題もあるので、そのままはなかなかやりづらいところもあります。ただ今までやってきた建設ロボットで災害対応をやるだとか、いわゆる無人化の技術を研究してきたので、運よくこちらで共同研究先が見つかれば、そういうことに取り組んでいきたいなと思っていますね。あとは、もちろんそういう災害対応などの重要な課題は、大きなテーマとして今後も続けていきたいのですけど、小さいテーマとしては人の役に立つようなものや技術についても、初心に返って取り組んでいきたいなと思っています。テーマはチャンスをうかがっているような状況です。

訊き手:そうですね、着任1ヵ月。これからですね。現実的な課題としては何かありますか?

藤井先生:しばらくは研究費を稼がないといけないですね。前職では大きな研究室にいましたので、有難いことに機材とかPCなどで困ったことはないのですが、こちらではそういうわけにはいかないので、まずは研究費の確保を、と思っています。

訊き手:なるほど。全て1からのスタートなのですね。さてインタビューを読んでくれている「未ロボを目指したいな」あるいは「ロボットのことを勉強したいな」という中学生・高校生達にアドバイスやメッセージ、こんなことしたらいいよってありますか?

藤井先生:今、ロボットは特に盛り上がっていますが、表面的だけではなく本質的にも急速かつ大きな進歩を続けている分野だと思います。なので、興味を持っている学生の皆さんは、やはり常に最先端のことを追っかけて行くのが良いかなとは思いますね。
でも、それはとても大変なことだとも思います。たぶんロボットに限らず、全ての研究分野がそうなのでしょうけど、あることを研究しようと思うと、まずは古いこと・既存の技術を勉強しなければいけません。でも、進歩が速いので、学ばなければいけないことが次から次っていう話で。例えば、今は私が学生の時からは信じられないぐらいの多機能・高性能なツールがオープンソースで出てきています。我々が汗水たらして、それこそ1年ぐらいかけてやってきたことを、皆さんがオープンソースを組み合わせて数時間でやっちゃうような時代になっちゃっています。ただそれを使うっていうのならまだ良いのですが、使いこなしたりそれを応用したりするために、本質的なところを理解しなければならない。真面目に取り組もうとすると、それだけ大変だと思うのです。巨人の肩の上に立つって話がありますが、肩の上に立つためにはハシゴを掛けてでもいいから巨人に登らないといけない。技術でご飯を食べていくためには、古典を勉強して、そのうえで最新の技術を学び、その上により新しいものを作っていく必要があります。なので、学生の皆さんには最先端のことには常に触れつつ、同時に,自分で考えることができるようになるために本質的な勉強もしていって欲しいなって思います。
あとは、これは学生にも言っている話なのですけど、自分ひとりでやっていても限界は絶対にくるので「人に質問できるようになりましょう」と。わかんないことは別に恥じゃないので。「わからないことをわかっているだけでましだ」って話ですね。

訊き手:そうですね。聞くことは一時の恥であって聞かない方がマイナスですよね。

藤井先生:はい、今の時代は知らないことを聞くことは情報スキルなので恥でもなんでもないので。

訊き手:最後になりますが本学で「こうしていきたい」っていう意気込みをお聞かせいただけますか?

藤井先生:まずは「藤井研」って言ったら、こういうことをやっている研究室なのだって言う代名詞的な研究を早めに確立したいと思っています。准教授なのに、まだそんなことを言っているのかって話ですけど、それを早急にやりたいというのが、近い将来の目的ですね。あとは継続的な目標で言うと、学生が卒業していった後に、また顔を出したくなるような研究室を作りたいなって思っています。

訊き手:ぜひそのような伝統がある研究室なりますよう私も願っております。今日は、ご自身ことを含めて赤裸々にお話しいただき感謝いたします。また貴重なお時間をありがとうございました。

藤井先生:こちらこそありがとうございました。

藤井研究室 http://www.rsa.it-chiba.ac.jp/fujiilab/

「インタビュー 藤井先生に聞く」先生と恩師について I

2018年5月11日午前 津田沼校舎2号館にて

訊き手:今日は2018年度から未来ロボティクス学科に着任された藤井浩光准教授にお話をうかがいたいと思います。藤井先生、どうぞよろしくお願いいたします。

藤井先生:こちらこそよろしくお願いします。

未ロボに着任して感じたことは?

訊き手:まず藤井先生はこの4月に着任をされましたが、未来ロボティクス学科の先生方は大きくわけて、機械工学系・電気工学系・ネットワーク工学系、それからハードか?ソフトか?に、分類されると思いますが、藤井先生の研究はどういった分類になりますか?

藤井先生:はじめに本学にエントリーするときの公募には「ロボットビジョンの教員を募集」しているってありまして、私自身はロボットビジョンをずっと専門でやってきた人間ではないのですが、特に博士課程以降に「ビジョンの研究」をすることが多かったので、ちょうどいいと思って手をあげました。私は、どちらか寄りか?ハードか?ソフトか?と言えばソフト寄りの人間です。

訊き手:そうしますと前回インタビューした上田先生に近い?(上田先生:インタビュー参照

藤井先生:そうですね。近いというかご存知かもしれませんけど上田先生と私は同じ研究室出身なので。

訊き手:そうなんですか?!出身大学が同じという認識だけでした。

藤井先生:私の先輩なのです。上田先生は。

訊き手:じゃあ同じ研究室で重なっている時期があったんですか?

藤井先生:ありました。私がB4で入ったとき、上田先生は当時助手。今でいう助教ですね。

訊き手:先ほどの「ビジョン」っていう言葉は聞きなれないんですが、例えば中学生や高校生に分かりやすく説明するとどんな研究なんですか?

藤井先生:画像を扱う研究ですね。ビデオなどの動画像も含めてなんですけど、そういったものから情報を抽出したり加工したり。画像を使うときは何かの目的があると思うのですけど、より目的に合ったような提示の仕方だとか、余計なものが映っていたら消すだとか、そもそも目的のための計測の仕方だとか。

訊き手:はいはい、なるほど。

藤井先生:一般的な画像処理全般から、ロボットビジョン、たとえばそれはロボットの目に相当して、周囲をセンシングした結果から何らかの情報を得る手法を研究したりします。

訊き手:ではこちらの研究室でもこの4月から徐々にそういったことの研究を始めていらっしゃる?

藤井先生:そうですね。

訊き手:メインになるわけですね?

藤井先生:そうです。とくに3年生の学生はそういうことを期待して研究室にきていると思うので、ぜひやっていきたいと思っています。

訊き手:じゃあ普段の講義の方ではそういった部分の担当をさせているのですね?

藤井先生:はい、冬学期から3年生向けに「ロボットビジョン」っていう授業をやらせていただきます。

訊き手:いまの授業はどういった内容の担当なんですか?

藤井先生:研究室の立ち上げのバタバタを考慮していただいているのか、今年(2018年度)の夏学期は千葉工大では授業がありません。

訊き手:なるほど。そうですか。

藤井先生:全員の教員でやるようなオムニバス形式のものは、担当させてもらったりするのですけど。シラバス上に載っている授業はないです。

訊き手:ざっくばらんに千葉工大に着任されてイメージはどうですか?まだ1か月ちょっとですけど。

藤井先生:はい、表面的なイメージでいうとキャンパスがとにかく綺麗だということと、システム化を意識されているなというイメージがあります。

訊き手:今までとは違うのですか?

藤井先生:はい、今までの東京大学は国立ですから“古き良き”みたいな感じで、授業の配布資料とか、千葉工大がiPadを使って行っている出欠チェックも紙ベースですし、古い建物なども多いのですが文化遺産になっていたりして改修工事ひとつ行うのも大変みたいです。

訊き手:取り壊す壊さないをニュースで報道されていたことがありましたね。ちょうどその前後だったか所用で本郷へ行ったとき立派な樹が伐採されていて、その時の木の香りを今でも思い出します。

藤井先生:ああいうレトロな雰囲気が好きな人には良いのかもしれないですけども、いかんせん機能性の観点では、新しいほうが良いってこともありますね。私は生活をするなら近代的な綺麗な方が好きです。

訊き手:他に何かありますか?

藤井先生:他はですね、まだ千葉工大の学科はここしか知らないのですけど、先生方の仲が良いのとフランクだなっていう感じがします。

訊き手:なるほど、なるほど。

藤井先生:あと “会議を減らそう”みたいな、そういうポリシーを皆さん意識されていて、積極的に実践しているのはとても好感が持てました。会議やミーティングに割く時間は、前職から圧倒的に減りましたね。

訊き手:圧倒的ですか?

藤井先生:はい、そういう拘束時間は減りましたので非常にありがたいですね。

訊き手:おそらく学科として努めてそういう雰囲気なんですかね?

藤井先生:そうですね、はい。そういえば、ここに来る前にも、上田先生から「この学科の良いところの一つは会議が少ないことだ」と伺っていました。

訊き手:そんな話があったんですか(笑)今まで多かったんですね?

藤井先生:そうですね。限られた時間なのでそこは大きいですよね。前職の時には私は学科でも一番の新参者だったので、出席して発言権はあるのでしょうけれども、発言する場がなくて、それで基本的に「何で私ここにいるのかな?」って(笑)

訊き手:なるほど(笑)たしかに結論が出ないで終わってしまう会議とか多いかもしれません。一般的に(笑)そういう部分で今までと全く違うと。

藤井先生:文化の違いを感じましたね。良い面も悪い面も相互にあると思いますが。例えば、こちらの大学ではボールペン1本から検収を受けるっていうのは、さすがにちょっと驚きましたね。

訊き手:どうせやるなら徹底的にやらないとタガがどんどん外れるからというのはあるんでしょうね。若い先生が比較的多いというのはありますか?

藤井先生:あっ、それも思いましたね。学科長の菊池先生もお若いですし。学長もご自分でおっしゃっていましたが、若い方ですよね。

訊き手:そうですね、お若いです。非常に気さくですしね。若い分、活力がみなぎっていると感じています。

藤井先生:私もそういう意味では、環境的にはすごくやりやすく感じています。

雪はじゃれるもんじゃない闘うものだ!?

訊き手:なるほど。話題をかえて、藤井先生はどちらのご出身ですか?

藤井先生:出身は福井県です。

訊き手:そうですかー。おいくつまで福井にいらしたんですか?

藤井先生:18歳ですね。大学受験といっしょに出てきて、ちょうど人生の半分は東京で過ごしています。

訊き手:福井の有名なものは何でしょうか?

藤井先生:よく聞かれますが、答えに困ります。福井に詳しくなる前に上京してしまったもので。今となっては多くは止まってしまいましたが、原発銀座って言われたほど原子力発電所がたくさんあったり、食べ物だとカニとかソースカツ丼だったり、工業製品だとメガネですかね?

訊き手:鯖江ですね。なるほどそうですか。じゃあ福井の方に今も帰省されたり?

藤井先生:はい。母や弟妹が福井に住んでいるので。

訊き手:私はここが地元なので故郷があって帰省できる人がうらやましいです。たまに帰省って楽しみですね?

藤井先生:そうですね。ところで、福井県って冬の空がとても暗いのですね。11月~2、3月あたりまで、鉛色の空で…。

訊き手:あーわかります。まさに曇天、鉛色。

藤井先生:私は、あの冬の雰囲気が嫌いで。寒いですし、雪かきとかしなきゃいけないですし(笑)

そういう意味で、東京に受験に来たとき、2月ですかね。2月なのに青空で、そこにすごく感動して。ああ、もう東京に来ようって思ったんです。それぐらい感動しました(笑)

訊き手:・・・青い空が感動ですか、あああなるほど(笑)

藤井先生:福井自体は好きなのですけど、やっぱり冬の雰囲気が…。

訊き手:冬のスポーツとかいかがですか?

藤井先生:からっきしですね。ぜんぜんやらないです。

訊き手:ちなみに未ロボの先生ってバスケットをやってた方がなぜか多いですね。太田先生・青木先生それから菊池先生?上田先生もやっていらした。あと藤江先生。大久保先生はバスケットボールの弾道の研究。

藤井先生:そうなのですね。私はバスケットどころか、雪国出身なのにウィンタースポーツすら1回もやったことないです。スキー・スケート・スノボやったことないですね(笑)

訊き手:そうですか。へえー。なるほど。

藤井先生:東京に来てからもウィンタースポーツに誘われるたびに言うのですが、「雪はじゃれるものではなく闘うものだ」って、理解をしてもらったことはないですが。

訊き手:闘う!?なるほどそうですか(笑)

藤井先生:福井でも少数派ですけどね(笑)

あの頃一番嫌いなのは学校の先生だった

訊き手:今の研究を目指そうと思ったきっかけは何ですか?

藤井先生:きっかけですか。・・・先ほどもありましたが、もちろんここの学科では“ビジョン”を頑張ってやろうと思っているのですけど、もともとは制御寄りのことをやっていたり、最適化だとか、機械学習とかもやっていたりしたので、分野としては広く浅く散らばっている人間ですね。そういう人間にとって、要素技術の集合体であるロボティクス分野っていうのは、進路として実に都合がよかったのです。だから、これがやりたいと志してこの分野を選んだというよりは、何でもありなのでロボティクス分野を選んだみたいなイメージです。非常に恥ずかしい話なのですけど、研究していること自体が好きなので、研究できれば比較的なんでも受け入れる立場の人間だったりしますね。

訊き手:なるほどー。それは遡ると、高校とか中学とか小学生のときからそういう物事を突き詰めることが楽しいって?

藤井先生:小中高の時はもちろん研究なんてやっていないのですけど。頭を使って何かに没頭・没入していることが好きだったので、目の前に対象があったら取り組むみたいな、そういうことをやりたくて。

訊き手:小中高ぐらいの時は没頭していることって何があったのですか?

藤井先生:なんでしょうねー?うーん。ただ普通に勉強はしていましたよね。

訊き手:勉強に没頭することが楽しかった?

藤井先生:はい。新しいことを次から次に知れたので、教科書とかも授業前にもらったらすぐに一通り読んじゃう人間でした。

訊き手:ほーなるほど。図書館なんか行ったらパラダイスですね?

藤井先生:はい、本は好きでしたね。

訊き手:それは小学生?

藤井先生:はい、小学校・中学校・高校と本は好きでよく読みましたね。

訊き手:なるほど、図書館にこもった方ですか?

藤井先生:図書館にはこもらずに借りてきて自宅でずっと読んでいました。おかげで目を悪くしちゃったのですけど。

訊き手:そういった性格的なところっていうのは、ご両親から受け継いでいるものなのですか?例えばお父さんがひとつのことに没頭する人だとか、おじいちゃんがそうだとか?性格とかって遺伝的なことがあったりするじゃないですか?

藤井先生:そうですねー。誰に似たとかわからないのですけど、兄が分野は違いますが、のめり込んだら調べつくすような人でしたので、系譜にそういう傾向はあったのだと思います。父親はどちらかというと浅く広く興味を持って、たぶん私の性格は父親からなのだと思いますね。だと思っています。

訊き手:そうですか。じゃあ将来「学校の先生になろう」というよりも没頭する中で気がついた時に先生になっていた?っていうタイプでしょうか?

藤井先生:先生になるつもりはまったくありませんでしたね。小中高のときにも、一番嫌いな職業が「先生」でしたから。もちろん個人としては素敵な先生もいらっしゃいましたが。

訊き手:そうでしたか、お嫌いでしたか(笑)このことって分かれますね。「先生になる」と目指していた方と、全くその分野へ行くと予想もしていなくて、でもメカが好きで気が付いたら「なってしまった」と。お嫌いだったんですか?

藤井先生:はい、大嫌いでしたね(笑)

訊き手:先生が(笑)

後編は近日公開です。

卒業生に訊く!未来ロボティクス学科1期生 菜花健作さん

聞き手: 社会で活躍している未来ロボの卒業生に様々なお話を伺う「卒業生に訊く!」、久しぶりのシリーズ第11回ですが、今日は一期生の菜花さんに来ていただきました。卒業後の将来像を描いてもらう3年生の授業「キャリアデザイン3」にたまたま来て頂いた関係で、今回のインタビューと相成りました。現在就活中の後輩たちに先輩としてエールをお願いしたいと思っております。

では、まず、自己紹介からお願いします。

菜花さん: 株式会社ゲームフリークに勤めている菜花健作です。未来ロボティクス一期生として大学に入学し、大学院を出た後今の会社に入社しました。

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RoboCup Humanoid leagueのKidSize Technical ChallengeでCIT Brainsが7連覇

本学科の林原教授、学部生、院生を中心としたヒューマノイドロボットサッカーチーム「CIT Brains」が、カナダのモントリオールで開催された世界最大のロボット競技会であるRoboCup 2018(ロボットサッカーワールドカップ)で、テクニカルチャレンジ部門7連覇を達成しました。

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ROBOMECH2018 in Kitakyushuで本学科から多数の発表がありました

2018年6月2日(土)~5日(火)、北九州国際コンベンションゾーンで開催された日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会にて、本学科から23件の発表がありました。

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実習風景

未来ロボティクス学科では1年生、2年生時に一人一台ロボットを作る実習があります。最近、学科では研究や授業風景の動画を積極的にアップしていますので、その中から実習のものを紹介します。

1年生

こちらは1年生のビデオです。お絵かきロボットを一人1台作ります。キットではなく、バラ売りの部品を使ってオリジナルで作ります。

1台1台の材料費はそれほどでもありませんが、これが100台以上となると・・・。(これ以上突っ込んだことは書きませんが、力の入り方はご理解いただけるかと。)

2年生

2年生の実習ではロボットハンドを作ってマニピュレータの先につけて動かします。このビデオは2016年度の力作です。

これは2017年度の力作。

ソフトウェアの方に興味があって、ディープラーニングやその他画像処理に挑戦する人もいます。

もちろん、みんながみんなこんな力作というわけではありませんが、同級生や教員から学んでいけば、そこそこのものは作れるようになります。

11/27 NHKで本学科が紹介されます

NHK Eテレ テストの花道 ニューベンゼミ」にて本学科が紹介されます。

  • 本放送:11月27日(月)午後7:25~7:54
  • 再放送:12月2日(土)午前10:30~10:59

制作の方々には、何度も津田沼や新習志野に来ていただいて、念入りに取材いただきました。制作側のご意向もあるので当日の放送の内容は断言できませんが、予告のビデオでは、米田研究室がメインで取り上げられ、上田研究室、南方研究室の研究も紹介されるようです。また、新習志野の実習も予告ビデオには映っています。

ぜひ録画予約を!

「インタビュー 上田先生に訊く」上田先生と上田研は謎が多いのですが II

前回に引きづつき、上田先生にお話を伺います。

研究室では何を?

上田先生は大学の研究室として研究を追及している事ってなんですか?

上田: 私ですか?私が。

訊き手: シェル芸はまた別です?

上田: シェル芸ではなくて、こっちですね。確率ロボティクスですね。元々専門って言ったらこれですね。確率論でロボットを動かすという事です。

何故、確率論がロボットに必要か。なんででしょう?

訊き手: 何でですか?

上田: 例えばロボットがカメラで周りをパッと見ました。さて何処にいるんでしょうかって言った時にこの建物は皆、部屋の形が一緒ですね。私の部屋かもしれないし、太田先生の部屋かもしれないし、藤江先生の部屋かもしれないし。三分の一の確率で、どこかの部屋にいるという話になる。じゃあ、その三分の一という知識に、別の知識を混ぜて、どれかを1にして他をゼロにすれば自分の位置がわかるという事じゃないですか。

その為にどうするかって言ったら廊下に出るとか周りをもう少し観察するとか。わかんないと動くんですね。人間は。ロボットもそうした方が良い。

1995年あたりからドイツの先生達がこれやり出して、皆偉くなってスタンフォードとかに行ったんですけど(笑)

で、2005年にその先生たちが英語の教科書を出して。その前にロボットモーションプランニングって凄い有名なロボットの教科書があったんですけど、それと同じくらい必読の教科書になりました。

その教科書が出た時に、私まだ27でしたけど、その研究の一部は23歳くらいからやってたので、これ見た時にあっ翻訳しようって思って一人で翻訳したんです。

訊き手: はー。

上田: 実はこの分野はfuRoの友納先生が日本の第一人者なんです。翻訳するときに少しだけですが面識のあった友納先生に相談すべきだったのですが、若いから一人でガメちゃって一人でやっちゃって・・・

もう、翻訳したいと思ったらもうすでに手が翻訳を始めちゃってて、私からいくつか出版社に接触して出版が決まって・・・

翻訳している時、何が辛かったって、自分がこれやっていいのかなあと後ろめたい気持ちで。

訊き手: へー。

上田: この確率の話は、僕が卒論やりつつ先輩の仕事を引き継いで実装していて、その時国内でやってたのが阪大の三浦先生と友納先生と僕とあと何人かて言うような状況だったんですけど。今もうみんなこれですね(笑)

訊き手: そうすると上田先生の師匠ていうのは誰先生なんですか?

上田: 師匠というニュアンスだと、当時博士の学生だった、静岡大学の小林祐一先生です。指導教官については、学部は湯浅秀男先生、修士は太田順先生、博士以後は新井民夫先生です。研究室は変わったわけではなく、同じ研究室にいて。

訊き手: その先生もロボット?違うんですか?

上田: みなさんロボットの先生です。研究テーマは、小林先生のチームから卒業していく先輩のを引き継いだものが多いです。

訊き手: はい。

上田: ただ、何かこれをやれと強制されることはなかったです。今の私も、学生さんには自由にテーマを選んでもらってます。

訊き手: なるほど。

上田: 学生の時の私はもう、好き勝手やってたって感じですよね。ええ。

訊き手: う~ん。

上田: で、新井先生に「こんなん考えましたー」って数式を殴り書いた紙を持って行って教授室に乗り込んで行って、「わからん」って言われて、「先生なのにわからないの?」みたいな。私の説明が悪いんですが。すごい失礼な学生(笑)

ただ、その後こってりとディスカッションさせていただきました。あと英語も泣かされながら直接指導を受けましたので、私の何が運がいいかっていうと、そういう教育を受けたことですね。

訊き手: え~なるほど、なるほど。

研究室っていうと、だいたい先生が研究されてることを学生もさきに興味があって、そこいって勉強するって感じですが。

上田: 僕それやっても、いいことはないんです。5年ブランク空いちゃったので、若い人の視点でテーマを見つけて、それを自分の馬鹿力で補うという作戦以外、ないんではないかと。ブランク以前も事務仕事ばっかりでもう、化石研究者ですよ(笑)

訊き手: う~ん。

上田: 今とは忙しさのレベルが違う、えぇ、レベルが違いますんで(笑)

鼻血出そうな位、忙しかったんで。で、プレッシャーがすごかったですね、はい。

訊き手: う~ん、う~ん。

上田: そして同じ忙しいでも、みんなこう、同じ事やってるのと、隣の研究室に遊びにいったら全然違う事やっているのとじゃ、もう全然違いますもんね。

訊き手: あ~なるほど、ん~。

上田: やっぱり、ロボティクス学科って、すばらしいんですよ。統一感が。

訊き手: あ~なるほど。

上田: そうなんですよ。だから働きやすいです。

訊き手: あ~なるほど。

上田: で、話を戻すと、今の研究テーマについては、翻訳した手前とりあえず確率ロボティクスと。

訊き手: う~ん。とりあえずですか?

上田: いや~でも~ほんと、だから、5年いないともう僕の知識なんかもまったく役に立たないんですよ。ほんとに。教えるくらいは出来るんですけど、要は世界で戦おうと思ったら、今の僕のレベルじゃもう全然だめです。

ほんと今、ヒィヒィ言いながら論文書いてて、まったく戦えない事はないですけど、しんどいです。研究のトレンドも変わっちゃってるし、ロボット動かすのも、どんどん難しい事しないと、またそんな簡単な事やってるのって言われるし、厳しいですね。うん、でもこれは一番高いレベルで戦おうとしているから言っていることであって、泣き言ではありません。現状確認ができないとダメです。

 

専門が麻雀からロボットになった学生時代

訊き手: もともとはこういったロボットに関連するいろんな研究をして行きたいなっていうのは、いつ位から芽生えてたんですか?

上田: そうですね、う~んと・・・学科は精密機械工学科で、麻雀バカだったので成績ビリで滑り込んだんですけど、その中で何をやるかな~っていったら、ソフトウェアなんだけど、やっぱり、体があると無いで、出来ること違うんで、プログラミングはやりたいけど、ロボット使ってやりたいなと・・・

訊き手: あ~なるほど、そこが繋がるんですね。

上田: そうですね。えらいもんですよ、もう4年の時に、配属された時に、やっぱりこれからはハードウェアとソフトウェアを融合させて、もっと面白い事しないとアカンと思うんですよっみたいなことを生意気に言ってて(笑)

訊き手: なるほど。

上田: やってた事はずっと、RoboCupでAIBO動かしてただけなんですが。ええ・・

訊き手: RoboCupは学生さんの時から?

上田: そうですね。4年のときから。だから私、RoboCup生抜きの教員です。

訊き手: え~え~

上田: 林原先生はもう先生だったから、学生からずっとやって、大学の先生やってる人間はそんなにいないんで、ちゃんとしてないと(笑)

そんな感じですね。

訊き手: そうすると、大学生になってからって事なんですかね。

上田: そうですね。コンピュータ触ったのも大学に入ってからで、Software Designで、何月号だっけ、インタビューが載ったんですけど、そのシリーズ二十何回続いてて、インタビュー受けた中で僕が一番コンピューター触ったの遅かったんです。みんな小学校の時からやってましたとか言ってて・・・

なんで本読まないでそんなもん触ってんのって正直思いました。僕が言うの何ですけど(笑)

えっと、ちょっと待ってくださいね、2月号。2006年2月号・・・2016年・・・?

訊き手: あっ若い、これ去年ですか、今年?

上田: 今年(2016年)です。若い格好をしてる、顔にも力をいれてる。

訊き手: ビールを飲んでるし。これをちょっと参考にさせてください。

上田: どうぞ、お貸しますよ。

訊き手: お借りしていいんですか?ふ~ん・・・。

他の先生が、世代的には、いろいろ、なんだろ、アニメの話を振ると、ガンダム世代とか、あと何とかって言ってたな、結構なんか幅広くしていらっしゃって、やっぱり物作りが凄く好きで・・・

上田: そうですね。

訊き手: あっやっぱり一緒ですか?

上田: いや、文学青年だったんで。筒井康隆とか安部公房とか寺山修司とか(笑)

僕は作らない人なんで、学生がCADいじって作ってるの見て、わ~すごいなぁって(笑)

すごいんですよ、みなさん、すごいんです。私は古いカリキュラムの人間なんで、製図も手でやったし。課題はいつも一番先に終わってましたけど(笑)

訊き手: え~え~

上田: 何か作るっていったら逃げてたし。

訊き手: ずっと神奈川ですか。

上田: 住んでるのはずっと神奈川ですね。

訊き手: 出身も?

上田: 出身は富山県ですね。西の端の農村。

田舎です。田舎だから、コンピューターなんて情報が無いので触れません。

訊き手: 話題を変えて、ありきたりな質問をいいですか?

研究室はどんな人に来てもらいたいですか?私の後ろに高校生や中学生達がいるって感じで。

上田: はい、なんでも来いです。幅広く対応できます。勉強できる子にも、できない子にも幅広く対応できる・・・

訊き手: はは。なるほど。

日経Linuxの連載は、ラズベリーパイでなんとかという・・・

上田: ラズパイですか?(箱を取り出して)ラズパイは、学生にすぐあげちゃうんですよ。買っても買っても・・・

これ一個一個がラズベリーパイです。これ一個が6千円位ですかね。6千円位で買えて、これが何かっていうとコンピューターです。えっとこれ(ノートPC)と同等です。これがLinuxで動くんですね。これがあの~全部電圧で信号出せるピンで、これロボットにつなぐと、どうなるかっていうと・・・あっ・・・これは写真で見せましょう・・・こんな感じで、ロボットになるわけですね。

訊き手: え~え~

上田: 私は工作しないので、このロボットについてはハードウェアの設計は私関与してないんですけど、RTさんっていう会社の人が作っていて・・・こんな感じで動きます・・・どれが一番面白いですか。これ、あのそこの廊下で走らせたやつ・・・壁づたいに行くんです。

訊き手: ほ~ほ~

上田: ギリギリ・・・

訊き手: なるほど、ギリギリ・・・

上田: で、このセンサーで制御して・・・

訊き手: 制御してるんですね。なるほど。

上田: ちゃんと計算してプログラムしたわけじゃないんですけど、カンで(笑)

訊き手: なるほど、へ~、すごい・・・

上田: 最後ぶつけるっていう(笑)

訊き手: これなんですね。

上田: Linuxを使うとセンサとモータのついたものもプログラムから簡単制御ができる、というような話を連載でしてました。それは一般の読者さん向けに、ホビイスト向けですね。

で、今度出る本はこれを大幅に強化したものです。こちらは大学生を恐怖に陥れるほど厳しい内容です。

訊き手: おお。

中高生は何をするべきか

次、何質問しようかな(笑)なんかすごく文章にすると難しいような感じになってきました。

上田:
専門的な事になると難しい(笑)

訊き手: そうですよね。すごく・・・

上田: 新橋の変な人の話でも(笑)

訊き手: いえいえ、全然そんな・・・。え~と~、若い子たち高校生とか中学生の子たちに伝えたい事って何かありますか。

上田: 高校生、中学生ですか?まあ、当たり前ですけど、しっかり勉強してください(笑)

で、そうですね、そんなに長く言えないので、言葉を選びだすとすごく悩むんですけど・・・やっぱり、抽象的に物事考えるっていうの大事で、数学ですね。で、1年の時からロボット触るっていうのがいい事だとは言ったんですけど、やっぱり物を見て組み立てるのって、限界があるんですよね。それ以上なんか、新しいことやろうとした時に、頭の中でいろんな事考えなきゃいけないんですけど、そういう時に物理とか、数学とか、国語もそうですね。効いて来ます。

学校の勉強っていうのは、ちゃんと考えられてああなってるので、しっかりやって下さいっということですね。作りたいんだったら、うちの学科くれば、そこからスタートでも、私個人としては構わんと思ってるんで・・・しっかり勉強してほしい。

訊き手: う~ん、なるほど。

上田: いろんな情報入りすぎるんですよね、今。ああいうことやっておけば受験や就職に有利だとかそういう話になるんですけど、やっぱり学校の勉強をしっかりやっといて・・・が大事。応用は、まあ、間に合うので、後からやっても・・・

で、私とかコンテストによく出てるので、コンテスト万歳人間のように見えるんですけど、コンテストは何か目的があって出るものなので、そういう所で活躍してても大人になってから、あんまりっていう場合もあるので(笑)。なにしろ17年関わってましたので、正直に厳しく言わなければならない立場だと思って言いますけど。

あんまりこの学科の志望者には、言いにくいんですけど、要は、コンテストって勝とうと思えばいくらでもその最短距離でいけるので。で、最短距離選んで勝つこともすごく大事なんですけど、決められたルール、決まってるとこで最短距離で行ってもいろんな事できる人間にはならないので、そこは注意したほうがいいかなって思うんですね。

で、飛躍しますけど学校の勉強をしっかりやると(笑)

訊き手: そこ大事ですね。おっしゃる通りだと思いますね。なんか、これからこの研究室でこの先、将来的に目指してるとことかってあるんですか。

上田: 将来的には何かまあ、そうですね、その話の延長なんですけど、やっぱり学生さん自身が、いろんな事を発信できるようになって欲しいなあというのがあるんですね。

作ってるだけで満足しちゃうんですね、みんな。そうじゃなくて、これ何の為にやっていて、誰の為に、で、どれだけ金になるか。そういうような事をちゃんと自分で説明して。とにかく、そういう事が出来る人、できるようにみんなを仕向けて、その結果なんか、面白い事が出来ればいいなあと思ってるんですね。

理屈の難しいこともやりつつ、まあブームみたいなものを作ってくと面白いかなぁと思ってるんですよね。例えば、小中学生向けにこの前講習会やったんですけど、ちゃんと五教科勉強しろとかいいつつ、そうじゃない事やってて、ちょっとあれなんですけど(笑)

ええと、タミヤのマウスの模型を改造して、デジタル回路の勉強をしてもらおうと。学生さんに設計してもらいまして。みんな勘が良くてですね、これ技術的にも結構面白くて、部品点数最少なんですよ。これ以上簡単にならないですよ(笑)。マウスの上に乗っちゃうから、3千円位で作れちゃうので、子供に持ち帰ってもらえるんですね。

で、作っただけじゃダメで、学生さんにちゃんとウェブサイト作って、説明をちゃんと書いてってお願いしてやってます。作ったらちゃんと説明書かないと誰もできないでしょと話しをしていて、そのへんの、記述力をちゃんと鍛えるということですね・・・。あと、最近だと動画作成能力も。YouTuberになれとかよく冗談言ってますが。

訊き手: なるほど。

上田: 最初にオープン系って言いましたけど、こういうのをしっかり発信して、面白い事やってるね、と口コミで広がっていくのが、その世界の流儀です。国がなんか計画を立てて、というのと正反対の世界。面白い事を誰かがやっているとわーっと人がやってきて、もっと面白くしてくれる、そういう世界なので、そういうのも着火点になれるようにして欲しいなと。そういうものが、ぽんぽんぽんぽん研究室から出ていけばいいなと思ってるので。

訊き手: たしか以前に「オタクで終わらせない」と、どこかで書かれていたのですが、そういうことですよね?

上田:そういうことですね。いやオタクでもよくて自分も大概オタクなんでお前が言うなって感じですけど、やっぱり何がおもしろいのかちゃんと、お客さん相手に伝えないといけない。

訊き手:そうですね。

上田: 大学の研究室でやることって社会で役に立たないみたいな論調ありますけど、オタクに走っちゃうとそうなっちゃうんですね。そうじゃなくて、ちゃんと発信しようとすると、結局論文のフォーマットになるんです。結局それが一番洗練した形なんですね。だから、論文の書き方をちゃんと教えれば、それも出来るようになる。ので、だからやっぱりそこが一番大事かなって思ってるんですよね。サラリーマンやってたとき、自分のやりたいことややったことを伝えられない人が大半で残念な場面を大量に見ました。逆に何にも考えてないゆえに舌ぽう鋭い人が目立って無意味に評価されることもよく目にしますけど、ものすごい社会的損失だなと思って。学問が役に立たないと思っている人は、自分自身が無駄に溢れていることに気づいてないんです。

「スポーツは?」「囲碁やってました」

訊き手: 何か運動とかされてましたか?

上田: ぜんぜんしません(笑)。中学校の時、バスケ部でしたが、去年スポーツフェスティバルに駆り出されて、2分走ったら足もつれて動かなくなっちゃって。シュート打ってもなんか2メートルくらい手前で落ちるし。ダメ。

訊き手: そうすか。なるほど。

上田: 部活動でいうと高校ん時に囲碁を始めて、富山県やる人全然いなかったから初段で県代表になりました。先輩によると2段くらいの強さはあったそうですが、単なる初段です。けど、女子の部に五段の子がいて、全然勝てなかったから何が県代表かっていう話ですけど。
男子と女子に分かれていたので、どっちが本物の代表ってことは無いんですけど。

訊き手:あーへー。なんとなく煮詰まってきましたね。大体聞きたいなって思う事は聞かせて頂いたんでこのへんで終局ということで。

上田: はいどうも〜。

 

「インタビュー 上田先生に訊く」上田先生と上田研は謎が多いのですが I

場所: 上田准教授室,日時:2016年秋

異例の経歴

訊き手: 一時間くらいお話し伺えたら。

上田: はい。ネタは豊富なんで。

訊き手: ネタは(笑)そうですよね。上田先生のことちょっと検索させていただくと、いろいろ写真がドバーッと出てきて。

上田: 全部私でした?

訊き手: 全部ではないですけど。

一回お話を伺って私の方で原稿起こしをして、上田先生に見ていただいて、これちょっと使えないなとか、言えない話とかもあるでしょうから。

上田: 分かりました。じゃ突っ込んだ話を(笑)

訊き手: むしろ、上田先生は執筆活動とかやってらっしゃるので文章とかも上手いと思うんで、そこらへんは、また。

上田: 分かりました。以前インタビュー受けて、全部自分で書き直すというズルをした事もあります。

訊き手: ほーー。たしか専門雑誌に執筆連載されてましたよね?

上田: そうですね。やってました。この前まで日経Linux(日経BP社)でやってて・・・

訊き手: あ、そうですね。拝見しました。

上田: その前はSoftware Design(技術評論社)ですね。

訊き手: 大学のお仕事の他に、学外の事ってかなりやるんですかね?幅広く色んな事やってますよね?

上田: はい、そうなんです。大学の勤務に関係ないことは時間外にやるようにしていますが、ぜんぶつながってるので区別がつかないですね(笑)

訊き手: それはもう随分昔からなんですか?

上田: 一般誌で書き出したのは、サラリーマンの時ですね。

訊き手: えっと、USB?

上田: USP。

訊き手: あっUSPでした、USP研究所っていうのは?

上田: 研究所と言っても、私が入った頃は8人くらいの会社で、面白い会社でしたがその当時はこじんまりと。

訊き手: じゃそこになんかこう、引き抜かれたみたいな感じ?

上田: いやあの、自分から行ったんですね、ふらっと・・・

訊き手: へーっ。

上田: もともと東大で働いてて、若かったんで、我慢が効かず嫌になっちゃって・・・

訊き手: えー(笑)

上田: 嫌になっちゃったので、1、2年位なんか面白いところで遊んで来ようって・・・。知り合いの慶応の先生にいろいろ紹介いただいて、なんか一番勢いあるなと(笑)

訊き手: でもすごくお仕事的には、研究してることに関連してるような・・・

上田: ロボットとは直接は関係ないのですが、Linuxというものを扱っていて、そういう点では深く関係してますね。

上田: ソフトウェアの世界って、大きく分けて、オープン系とそうでない系とがあるんですよ。

訊き手: はい。

上田: 要は、UNIXとかLinuxとか、公開されたコードを使ったり作ったりしてやってる人等と、Windowsとか使ってる人たち、あとは銀行のメインフレームとかですね。文化が全然違うんです。

訊き手: はいはい。

上田: 僕は研究でずっとWindows使ってたんですけど、UnixやLinuxの世界のほうが実はメインストリームで、全然仕事の考え方が違う。これからたぶん、どんどんそうなってくだろうなと思っていて、なんかそういう仕事やってる所ないかなぁと・・・

訊き手: あーあー、なるほど。

上田: で、あとプログラミングに自信があったんですけど・・・

訊き手: えーえー

上田: 腕自慢しているのが、コードを人に見せながら仕事をしているUnixやLinuxの世界の人たちで、そうでない自分がどれだけ力あるかも、分からなかったので。

訊き手: あっ、てことは、すべて含めて、一回外出て、ちょっとってことなんですね。

上田: そう、ちょっとね。

訊き手: あっ、それで「新橋のサラリーマンだ」といつかの自己紹介のときに名乗ってたんですね?

上田: 名乗るというか、正真正銘の新橋のサラリーマンです。ほんとに。プログラミングだけでなくて、外回りもしてストレス溜めて営業の人とニュー新橋ビルで飲んだくれてましたので。SL広場で酔っ払ってインタビュー受けるような。毎日あんな感じです。

訊き手: あーあー、なるほど・・・(笑)

上田: 最初、会社入ったとき、これくらいの事務所ですね、私の部屋と学生の部屋の中間の大きさですね。

訊き手: でも、ちょっと会社の概要ちらっと見させて頂いたら、取引先は大手ばかりですね。

上田: そうですね。それだけの規模でも大手の一次受けができる力のある会社です。ただ、肩書きにこだわるわけじゃないけどぶっちゃけ東大の上田先生からいきなりただの上田さんになってしまったんで・・・。正直に言うと転職当時は背筋が冷たかったですね。

訊き手: ええ。

上田: で、話が長いんではしょると、今の連載とかの仕事は、その後いろいろあって、いろんな人のおかげで舞い込んだもので、やっぱり自分がうまく他者と関わりあって、力を出していれば、どこにいようが人がちゃんと仕事もってくるんで・・・

訊き手: ははは・・・なるほど・・・

上田: 大丈夫なんですよ・・・私クビになって、明日から放り出されても別に・・・。あぁでもやっぱり辛いですけどね(笑)

訊き手: (笑)

上田: もうアカデミアに砂かけて出るつもりもないですが・・・。いや、どうでしょう?

訊き手: ぜんぜん書けない。話が(笑)

上田: いやいや、いいんです書いて。戻るのに結局、何年かかったんですかね、5年だ5年。

訊き手: 5年はすごいですね。

上田: 東大では助手だったんですが、僕が独法化した年の最初の助手だったんですね。昔って見所のある奴は博士課程中に助手にしちゃって、教授が研究というより研究室運営の英才教育して。その流れで博士2年になりたての時に。退学届に「本校に勤務するため」と書いて。こうなると、独法化前は、国家公務員なんで絶対首にならないんで、地方大に行って助教授やって東大に戻るとか他の大学行くとかそういうルートだったんです。けど私の時、独法化でそれがほんの少し怪しくなっちゃったんですね。

訊き手: あー

上田: でまぁそれは大した話でないんですけど、国立大の中にいるとですねぇ、今、予算がけずられたとか、いろいろ問題が取り上げられていますけど、もう、その予兆がすでにあったんですよ。そのまま他の大学で働いてても良かったんですけど、なんか大学に向けられる行政とか社会の目がすごくいやらしいものに感じたので、働いててもなんか誇りがない。それならまだ30歳だし、一回外に出るなら今しかないと思って。で、新橋に行ったんですね。と言っても他にも理由は多々ありますけど。

訊き手: なるほど。新橋5年位でしたっけ?

上田: 5年。正確には4年半ですね。

訊き手: でも非常に有益だった5年じゃないですか?

上田: 有益でしたね。研究者としては一旦終そこで終わっちゃったんで、今大変なんですけど(笑)。追っかけなきゃいけないんで。行って帰ってきたらディープラーニング、ディープラーニングってみんな言ってて「何それ?」って、そこからスタートですから。いま学生さんが優秀で自分でやってくれているから僕も横にいて勉強になるんですけど、いやどうしようかなと思っていて。責任もあるし。

(補足: とおっしゃっていますが、2016年度だけでこれだけ研究をされています。)

訊き手: 千葉工大に来られるきっかけって何かあったんですか?1年半位ですよね。

上田: えーとまぁ公募に。その前2年間が産業技術大学院大学でこちらも公募です。

訊き手: そうですか。

上田: 4年半、研究から離れてて戻れないなって思っていたら社会人大学院の公募が出てて、ここなら力になれるなと。実は知り合いの方もいらっしゃったので、どんなとこか話を聞いて、産技大だけに公募を出したら、やっぱり昔の研究と、その時の企業経験を両方評価いただいて拾っていただいて。

訊き手: そうなんですか。

上田: で、産技大で研究を再開して、幸いなことに割と早く研究成果が出て、論文書いてとやってたら、1年半目で、ある学会の集まりで・・・

訊き手: あーロボット学会ですか?

上田: ロボット学会のなんとか委員会ですね。

訊き手: あぁ委員会。

上田: ある先生が千葉工大で募集が出てます。どうですかっておっしゃられて。

訊き手: あーそうなんですか。

上田: 私立向きですよって言われて・・・(笑)。で公募出したら何故か選ばれて、そんな感じでした。何故かと言うとよろしくないので、過去やってきたことと、産技大で書きためた論文や書籍で評価いただいたというところでしょうか。

訊き手: じゃもう入る前にはこの未ロボの事、知ってるとかそう言う事ではなくて?

上田: いやいや知っておりました。個人的にはつながりはなかったんですけど、業界じゃあやっぱり有名なんで。fuRoもあるし、千葉工大イコールロボットみたいなのがやっぱあったので・・・。未ロボ自体も有名ですし。あれ、ところで未ロボって10周年ですかね?

訊き手: そうですね2016年で10周年。

上田: 10周年ですよね。未ロボが出来たちょっと後くらいで私がドロップアウトしてるんですけど、ロボットの先生いっぱい集まってるって業界ではザワザワしてたんで(笑)

訊き手: あーなるほど。

上田: あと、ここでロボット学会やった時に私来てます。1回だけ。

訊き手: あっはいはい。やりましたねぇ。

上田: あっなんか手伝われたんですか?

訊き手: え~と私は(誰かバレるので割愛)

上田: (笑)。6号館でやったんですよね。私、6号館は覚えてるんです。

訊き手: あっそうですか。

上田: まだここ(2号館)無かったですよね。

訊き手: 無いですね。

上田: そうですよね。あの建物(6号館)だけ覚えてる。

訊き手: あっは、なるほど。じゃなんだかんだ接点はすごくあったんですね。

上田: そりゃまぁそうですよね。

千葉工大や未来ロボティクス学科の印象は?

 

訊き手: なんかあれですか?未ロボに着任されてなんか印象とかってなんか。

上田: う~んと そうですねぇ・・・綺麗だな(笑)

訊き手: (笑)

上田: 過去の職場がどうのこうのという話ではないですけど、新橋のサラリーマンだとタバコ臭い人との仕事が多くて、たまにイベントとかでニフティさんとかヤフーさんとか行ったりしたら、あぁこんな綺麗な所で俺も働いてみたいな、と。その前の東大も当時は鉄サッシが歪んで蚊が出入り自由なところでロボット動かしてたので。そのあとちょっとだけほどほど綺麗なビルにいましたが(笑)。もっと綺麗なところで働いてみたいなとか思っていたら、あ、働けたみたいな(笑)そんな感じです。まあ第一印象なんてそんな感じです。

訊き手: 第一印象は…なるほど。

上田: まぁあとは、そうですね。やっぱり先生達。あっ米田先生だ!とか(笑)

訊き手: 有名?

上田: そりゃそうです。あと南方先生とはよくRoboCupで一緒に仕事してました。

訊き手: あーはいはい。

上田: 林原先生も。たぶん2000年からずっと同じ会場にいたんですけど、チーム活動に集中されていて、着任直前に初めて話しました。で、お話ししたらご近所同士だったという・・・(笑)

訊き手: たまたまですか?

上田: 偶然も偶然です。

訊き手: (笑)RoboCupの方は林原先生の方とは違うリーグで?

上田: そうですね。私AIBOのリーグにいて、ずーっとAIBOばっかりさわってました。で、東大から出た時も、他なんにも出来なかったんで、これ研究者として食ってけねえや、と思ってました(笑)

訊き手: (笑)なるほどね。

上田: 今思えばそんなことないんですけどね。ほんとにね。自信が無かったんですね。

訊き手: 今年(2016年)もRoboCup行かれたんですね?

上田: 行きましたドイツ。

訊き手: 世界大会。あれは、えっと、どのチーム?

上田: えっと@homeリーグと言って、家事のロボットをやるチームですね。

訊き手: ちょっとみたんですけど、学生さんを連れて行く為の費用のために寄付を募ったとどこかに書いてあったんですけど。

上田: そうですね。そのためというより、工学研究のために募り、その中でこういう活動もあるよということで。

訊き手: あれやっぱ集まったんですか?

上田: ありがたいことに。

訊き手: すごい。

上田: いや、でもまあ、そんなこと言ったら他の先生の方がもっと外部資金は獲得されています。私の場合はルートがおもしろくて、サラリーマン時代にイベントで名刺交換した、いや、名刺交換どころじゃない。一緒によく飲み食いしていた方々からいろいろ助けて頂いて。

訊き手: 何人ですか?学生さん。

上田: ドイツに行ったのですか?6人です。

ドイツ大会のメンバー

訊き手: なるほど。結構そういう繋がりって大事ですよね。

上田: 繋がり大事ですね。

訊き手: サラリーマンの時代があったっていうのは、かなりじゃあ今、有意義ですね。

上田: 有意義は有意義ですね。この歳になって思うのは、「失うものがあったら、得るものがある」という(笑)

訊き手: ほんとそうですね。

上田: どうなんでしょうね(笑)

訊き手: 何人か先生方にインタビューさせて頂いて、大体皆さん暇がない忙しい学科だって仰って。

上田: あ、そうですね。ただ私はいろんな条件が重なってまだ楽させていただいてます。

訊き手: あ、そっか。タイミングが。

上田: ただ、学科の仕事が忙しくないのにつけこんで、別の仕事を目一杯詰め込んでしまい、今にっちもさっちも行かないです(笑)。でも、忙しいというのも、どうなんですかね。サラリーマンよりはっていう所もあるので。納期が迫ったときのお客様、かなり怖いですよ(笑)

訊き手: でも私他の学科もちょっと出入りしたりしてるんですけども、多分この学科の先生が一番忙しいんじゃないですか?

上田: 忙しいと思いますね。

訊き手: 他の学科の先生も忙しいと仰る割にはけっこうゆったりされてますよね。

上田: え~(笑)そうですか?そうか。まぁロボット屋は忙しいですからね。特に自分で作りだすと。

訊き手: そうですよね。一年生からロボットすぐ作らせるって言うのは他ではなかなか無いって聞きますけど。

上田: なかなか無いですね。

訊き手: あれはやっぱりいい事?

上田: いい事だと思います。ただ、いいことと悪いことは表裏一体なので、研究室でどれだけシバキあげる、もとい、補うことが出来るかっていうのは、考えてることです。

訊き手: なるほど。

上田: いや、いい事しかないですね。その後ちゃんとやれば、ですが。やっぱり大学1、2年生で座学やっても何のためにやるか良く分からない。私もそうでしたけど。私麻雀ばかり打ってました。

訊き手: (笑)そうなんですね。

上田: まぁ私がもしこの学科に入学してきたら、たぶん逃げると思いますが。

訊き手: (笑)そうですか。

上田: ただまぁ、さすがにほとんどの方が無事に卒業されるわけで、とてもいいと思います。ちゃんとやるべきことが時期ごとに適切に設けられていて。

訊き手: 4年間頑張ったらほんと力つきますね。

上田: いや力つきますよ。もう。さっきも言いましたけど千葉工大の学生さんは何故か自虐的なんですけど、社会出たらもう引っ張っていく方なんで。頑張んないといけないんです(笑)

中小企業だと大学生なんて新卒でとれないんで、貴重なんですよ。それを誰もわかってない!(笑)

規模の小さい会社から上場企業まで、いろんなところに行って、時には常駐していろんな人たちと働いたんですが・・・。結論としては鍛え上げられた千葉工大生は即戦力です。

訊き手: 自信持った方がいいですね。

上田: 自信持った方がいいんですよ。自信ないとか言いますけど、そんな事は決してないので。

訊き手: よく一生懸命みんなやってますよね。

上田: やってますね。

大学の先生わかんないと思うんですね。千葉工大の学生さんがその先どんなふうに仕事するのかって。大卒がいないっていう仕事場が世の中の大半なのですが。見たことないでしょう。大半でもないか。

訊き手: 多いですね。

上田: 最初は大きい会社に勤めて大卒ばかりのところで働くんでしょうけど、そういう現場で働いたら、やっぱり引っ張って行かないといけないので。もっと自分を大事にしてほしいなっ、とか思ってます。

訊き手: (笑)なるほど。

 

シェル芸って何ですか?

あの上田先生のブログ?「上田ブログ」っていう名前で、皆さん結構閲覧してる方が多いって。

上田: そうですねー。まだまだです。

訊き手: もう何年位されてるんですか?

上田: あれは3年くらい前からですね。

訊き手: そうなんですか。上田先生のファンがかなりいるって事ですよね?

上田: 私のファンですか?私自身と言うよりはコミュニティーがありまして。USP友の会っていう。まあUSPの社員では今無いんでスタンスが難しいのですが。USP友の会というのは、シェルスクリプトのコミュニティーでして。社長がそういう会やったら面白いみたいな感じになって、んで、広報だった人が凄く力のある人でグイグイ会を引っ張って、私がなぜかお飾り会長に据えられて、ずーっと活動してるんです。もう8年くらいやってるんですよ。

訊き手: それはリアルな所で集まるとかそういう事もあるんですか?

上田: ありますあります。最初は定例会って2か月に1回、ひたすら酒を飲むという。パソコン開いて(笑)

訊き手: 今もですか?

上田: そうですね。今は2か月に1回勉強会やってまして。大体募集かけると1日で満員になっちゃう。

訊き手: 何人くらいですか?

上田: 40人くらいですかね。それ以上増やすと参加者全員に目が届かなくなるので限定してます。あと大阪と福岡でサテライト会場を用意していただいております。

訊き手: じゃあ出張されるわけですか?上田先生。

上田: いいえあのYouTubeで中継して。向こうは向こうで集まってワイワイやってるので、逆に中継してもらうこともあります。

訊き手: なるほど。なんか面白そうですね。

上田: 面白いです。何やるかっていうとLinuxの使い方でコマンド使って色々出来るんですけど、それをやるみたいな。

訊き手: 年齢層とかはどんな感じ?

上田: 年齢層は学生さんから・・・

訊き手: 大学生ですか?

上田: そうですね千葉工大の人がやたらと多いです。私が千葉工大来る前から多いんですよ(笑)

情報の学生さんとか(笑)

訊き手: あーはいはい。

上田: で、学生さんからおじいさんまでいらっしゃっしゃいます。定年された方は何回か来てちょっと若い方に圧倒されて来なくなるケースとかありますけど(笑)

訊き手: (笑)

まれに中学生が来てとかそういう事はないんですか?

上田: 中学生は・・・さすがに。うちの子がいっぺん出て小学生が来たとか言って(笑)

訊き手: (笑)

なるほど。

上田: 何やるかっていったら、え~とこんな事をやるんですね(パソコンのキーボードを叩く)。これMacですけど、そうですね 、たとえば1から10まで足し算したりとか。あの、UnixとかLinuxとかは、お使いになりますか?

訊き手: いや、まったくです、すみません。

上田: これWindowsだとこういう使い方しないんですけど、もともとコンピュータってこうやって使うんですね。たとえば素数出したいっていったらfactorって打つと因数分解してくれて、で素数だから二つこっちが元の数こっちが因数分解だから・・・これ一個だけの奴、素数ですよね?でこれが二列しかない奴ったら2, 3, 5, 7て出てくる。

訊き手:(何が何だかわかりません。)

上田: こういう問題をやるんですよ。

訊き手: へーなるほど。

上田: でこれ何がいいかっていうと、乱暴なこと言うと、ロボットはみんなこれで動くんですよ。ROSって今あるんですけど、こういうのも基本的にLinuxで動いて、研究者はコマンド叩いて操作するんですけど。

訊き手: へー。

上田: プロになるほど、こっちの方が楽になるんですよ。

訊き手: あっそうなんですね~

上田: マウス使ってると面倒とか。

訊き手: はいはい。

上田: 論文とかTeXとかで書きますよね。それも、例えば、じゃちょっとこれを(パソコンをいじり出す)。これ、こないだ査読でボロクソ言われて落ちてしまった論文。こうやってmakeってやって、make cleanってmakeってやると・・・で、openってやると。あエラーが。エイッ。エラーが。なんて間が悪い。別んとこでmake clean、makeと、こんな感じで変更できるんで。マウス使わないです。

訊き手: なるほど。

上田: これ達人になってくると、仕事がめちゃくちゃ速い。

訊き手: すごい。実践型で効率的ですね。

上田: で、今は皆いきなりWindowsから入るから、これ分かんないんですよ。物凄い時間無駄にしてて。なのでこれをもう一度復権しようって言う事でやってるんですね。会社でやってたのもこれなんです。こういうやり方で皆やっちゃいましょう。で、企業のシステムもこれに似た方法で作る。

訊き手: ほーなるほどら、ひとついいですか?シェルゲーっていう言葉を上田先生が考えた。

上田: ええ。そうです。シェル芸です。

訊き手: シェルゲーって言うのは、なんなんですか?

上田: 今のやつです。

訊き手: 今のが。あ、なるほど。

上田: 昔はこれコマンドワンライナーって言ってたんですね。で、一種のマーケティングで、なんと言うか微妙な名前をつけて再定義するとみんな楽しく勉強し出すという(笑)

訊き手: (笑)

上田: 勉強会では、こういう問題出していくんですね。

訊き手: なるほど。

上田: こんな風にコマンドぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃって書くと答えが出てくる(笑)

訊き手: へー。そういう事なんだ。

上田: 昔はみんな習ったんですよね。

僕も大学生の時ちょっとやりましたけど。すぐ嫌になっちゃいました。計算機センターってとこ行くとWindowsじゃないマシンが並んでて、先生から、コマンドというものがあって、これでこうやって三つ繋ぐと印刷できるんだとか習うんですけど、そん時僕、Windowsでアイコンクリックすればいいじゃんとか思って。先生もなんか退屈そうで、熱がない。クソつまらない。

つまらないなら、面白くするのが商売人でも先生でも、つとめじゃないですか。ということでシェル芸です。

訊き手: ふ~ん。なるほど。

上田: 本が今あっちの部屋行っちゃてる。その本が・・・少々お待ちください。

訊き手: おっ。えー。

上田: これがシェル芸の本です。

訊き手: わーすごい。

上田: ひたすらコマンド地獄。

訊き手: わぁ。すげえなこりゃ。へー。あちゃー。

これ何処からですか?

上田: 技術評論社さんです。

コンピュータの世界って実は字の世界で、それの処理が、情報処理の世界ではほとんどです。この字をこの字に換える、そういうのが全部、この黒い画面にバーッと出来ちゃう。

訊き手: なるほど。そういう。

上田: で、こっちの本が、これの前の年にKADOKAWA/アスキーメディアワークスさんから出した奴。ウェブサイトをこのテクニックで作るっていう。

訊き手: ふ~ん。

上田: こんなわけのわからんコマンドの羅列でウェブの画面ができる。

訊き手: へ~。

 次回へ続く