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インタビューシリーズ:interview-01

入学後半年経た一年生にナマの声を聞く

司会:先川原 千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)室長
出席者:(千葉工業大学未来ロボティクス学科一年生六名) 阿久沢拓巳、加藤拓也、河野涼子、和久敬哉、木村俊彦、伊林陽子、富山教授(数学)(敬称略)

出席者全員の写真
左の写真手前から、先川原室長、阿久沢君、加藤君、河野さん  右の写真奥から、和久君、木村君、伊林さん、富山教授

先川原:顔写真今日はお疲れの所、お集まりいただきまして、ありがとう。
今日は、皆さんが入学して、半年ぐらい経ったけれど、この学科に入ってみてどう思っているか、ざっくばらんに、皆さんの感想を聞かせて下さい。
加藤:大学って、気楽で楽なところと思っていたけれど、実際に入ってみて、忙しいし、充実していて、楽しい学科です。
先川原:普通は半年経つと、目的を見失いがちなものなんだけれど・・・何が具体的に楽しいですか?
加藤:顔写真林原先生のロボットプロジェクト*に参加しているのですが、それは、三色の篭に同色のボールを入れるというもので、ロボコンにでるために、そのロボットを設計して、今は、プログラムを書くところまでいっています。
(*プロジェクト:単位とは関係ない授業外の活動で、教授陣が指導する。現在は6つが稼働中。林原(知能ロボコン、ヒューマノイドロボコン)、中嶋(自律車椅子)、王(ネットワークロボコン)、小柳(レスキュー)、富山(数学))
先川原:それは何人ぐらいのチームで、授業との関連は?
加藤:1チーム5人で、全部で20人ぐらいいます。11月8日にプレ大会があり、授業が終わってから、夜11時くらいまで楽しいのでやっています。このプロジェクトをやっているから、授業についていけるという気がしています。
先川原:なるほどね。では、伊林さん、女性でロボットに興味を持つというのは珍しいと思うのだけれど、どうして、この学科を選んだの? 私がロボコンマガジンを編集していたとき、読者カードを集めると読者の99パーセントは男性で、たまに女性からのカードをみてみると、「お宅の雑誌で、また主人がロボットにはまってしまいました。」というような、苦情?だったりしたのたけれど・・・(笑)
伊林:顔写真小さい頃から、ミニ四駆を友達とみんなでやっていたので、ロボットが男の子の物というような、感じはありませんでした。機械に限らず、物を造るのが好きだったのと、中学で技術の授業が楽しかったこと、さらに、動く物を造りたいと思うようになりました。ロボコンをテレビで見て、自分もあんなふうに、造れたらいいなと・・・
先川原:それで、実際に入ってみてどう?先ほどの数学の授業のこととか。
伊林:最初は数学は数学でとしか見ていなかったんですが、勉強している数学が、実際にどう使われるものだって、先生のおっしゃってるように考えなければいけないということがだんだんわかってきました。
先川原:それって、普通は3・4年で気づくことだと思うのだけど、そう思ったきっかけは?
伊林:先生が授業中に、これはロボットでこういうことも使うんだというように、数学というより「ロボットで使う数学」として、教えてくださるので。それに、数学の勉強会にも出ているし。
先川原:数学だけの勉強会は何人くらい?
伊林:私は水曜日で、今は2人でやっています。
河野:私は月曜日で、3人から5人でやっています。
加藤:僕は金曜日で、5人。
先川原:どういうことをやるの?
阿久沢:顔写真勉強会は授業ではなく、答えに達するまでの過程を1人が先生になったつもりで、みんなに説明するんです。他の人はそれに質問する。考え方を身につけるんです。
先川原:それでわかるようになります?
阿久沢:自分でよく分かったつもりでいても、質問されるとあっ、これでいいのかなと。それでまた確認するんです。
先川原:河野さんは?
河野:顔写真私は、理科が好きだったので、理系のどこに行こうかと思ったときに、これからはロボットの時代かなとテレビで見て思ったのと、ディズニーが好きで、将来技術者としてディズニーにいけるかなと思って、ロボット学科にしました。
先川原:卒業生もいない一期生ですからね。就職できるのかなとか思いませんでしたか?
河野:努力すれば何とかなるかなと。
先川原:すばらしい!それで入ってどうでしたか?
河野:難しいことが多くて、でもパソコンもまるでインターネットにつなぐくらいしかできなかったんですが、何とかみんなと同じように使えるようになったし、機械も作れるようになってきています。数学の勉強会もでてますし。
先川原:みんなよく出席しますね。おこづかいでももらっているんですか?
河野:お菓子くらいは・・・
富山:アメリカの大学では、輪講のとき、まずコーヒーを用意して、リラックスしてから始めるんです。頭をもみほぐしてからやる、という意味で。
先川原:女性お2人は何かプロジェクトは参加してるのですか?
河野:いえ、まだ、でもどこかに入れば楽しくなるかな、とは思ってます。
富山:今はまだプロジェクトは、ハードウェアですが、これからは、電気系とか、プログラミング系とか、遺伝的アルゴリズムとか、普通は4年生がやるようなことも、話にでてきています。
先川原:すごいですね。
では、木村君はまず志望動機から聞かせてくれる?
木村:顔写真ぼくは大検で来たのですが、12月のオープンキャンパスでここにしようと決めました。機械とプログラミング、ロボットだったら両方できると思ったので。
先川原:それで入ってどう?
木村:楽しいです。もう少し自由にロボットを造りたいと思って、総合工学研究会というサークルでヒューマノイドロボットをつくっています。
先川原:いきなりヒューマノイドとは、一年生で、それは大変だね。失敗をするということや、先ほどの、数学の勉強会で恥をかいて、成長するというのも大切だね。どんどん失敗して下さい。
和久さんはどうですか?
和久:顔写真僕の志望動機は、まず野望から説明しますが、僕は、歴史上に名前を残したいと思ってます。何でもいいから、教科書にのるようなこと、それにはノーベル賞をとるか、ロボットしかないかなと思い、ノーベル賞は無理そうなので、ロボットにしました。
生まれて初めてみたアニメが「ガンダム」で、それが大好きでした。大学はせっかく名を残すなら、新設学科がいい、一期生がいいと思って、千葉工大にしました。
先川原:すばらしいですね。将来ロボットベンチャーとかで成功するかもしれないし、その時は、入学したときからそう思ってましたといえますね。それを実現するために、入学してからどういうことをやってますか?
和久:課題が与えられたときに、人と違うことをやってみています。たとえば、この前のロボデザイナーを使ったときは、99%の人が車輪を使ったときに、キットの中の物に、付属品を買い足して、二足歩行にしてみたりしました。
今は、プロジェクトはやってないけれど、家で、ロボットの外装になるようなパーツを模索していて、シリコンゴムなど買って研究しています。
富山:外装に関しては、来年度使うのは、レーザーで固めて造る光造形で、大変だけど、菊地先生のところにいけば、すぐに教えてもらえるね。人と違った事というのは、いいね。
先川原:阿久沢さんは志望動機は?
阿久沢:何をやろうか、建築家、デザイン、弁護士か、それともアメリカへ行って生活しようかなど色々考えましたが、無心なときに物を造るのが好きということに気がついて、ロボットがいいと。ここは、一期生なので、ここで、一番になればと思いました。
先川原:和久さんと似てますね。一期生だから面白そうという・・・
伊林:一期生はかっちりと決まってる既存の学科より、先生が様子を見ながらプログラムをつくってくれるので、よそより、何かできそうと思いました。
阿久沢:この大学に入って、富山先生の数学の授業のグラフと同じものが、ヒューマノイドロボットの制御に使えるとわかって、数学がロボットに使えると実感して、勉強が面白くなりました。
今は、知能ロボットと、中嶋先生の車椅子のプロジェクト両方に参加してみていますが、来年からは、一つに絞ろうと思っています。
先川原:ここの先生方は、放課後残ってまでプロジェクトを指導して下さって、奉仕を惜しまない先生ばかりだし、また、そういう先生方にこそ集まっていただいたのだけれど、先生方と君たちとの距離が近くていいですね。
富山:顔写真一つ君たちにききたいけれど、ここまでやってきて、ロボットを作るということを通して、他の学科の勉強に興味は湧いてきているかな? たとえば、ロボット造りは面白いでは、趣味で終わってしまうし、将来君たちが全員ロボットの専門家になると決まっているわけでもない。そうすると、ロボットを通して、学んだ他の学科の内容が将来役立ってくるだろうと思うけれど。今が過渡期でもう少しすると、分かってもらえるようには思うけれど、今の段階でどのくらい、そういうことを分かっててくれるだろうか?
河野:勉強は面白いと思う。物理の電気などは、ふだんの生活と結びついて面白いし。ただ、今は課題が多くて、それをこなすのだけで、精一杯で、そこまで考えられないです。
和久:もともと理系教科はあまり得意でなくて・・・
先川原:それでノーベル賞?
和久:理系科目ができるかできないかでなく、ロボットが好きということで、専攻したので、それから好きになりました。今は課題ややることがたくさんありますが、やることが多ければ多いほど、やる気になり、頑張れます。
木村:今まで習った数学の逆機構学をロボットに使ってみようかと思っているんですが、うまくいくかどうか・・・あとで質問に行きます。
富山:待ってますよ。
先川原:悩むことのレベルが高いですね。一年生というより、三年生くらいの内容ですね。
富山:
小写真
難しいことをなるべく、簡単に思えるように教えるようにしてますね。どこまで、彼らを引き上げようかと思っています。
先川原:
小写真
では、半年たって、今の段階で、将来の展望はあるかな?
伊林:
小写真
今の段階で、研究が楽しそうなので、研究者として勤めるか、大学で研究を続けるかというように考えてます。
木村:
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ここで学んで高めた能力をフルに使えるようにしたいです。
和久:
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何かで名前を残します!
河野:
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研究者には向かないので、ディズニーランドに勤めたいです。
加藤:
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物を造って暮らせたら良いなと思います。そのためには、自分の好きなことで会社を立ち上げようかと・・・
阿久沢:
小写真
やりたいことができるように、各教授からいろいろと学んでいきたいと思います。
先川原:ここの先生方はみな若いから、大学を巣立った後も、ずっと師事していけると思いますよ。
では、次回また皆さんの感想を聞けることを楽しみに。
きょうはありがとうございました。