インタビューシリーズ:interview-19
- interview-21:「卒業生に訊く! -10- 」
- interview-20:「卒業生に訊く! -9- 」
- interview-19:「卒業生に訊く! -8- 」
- interview-18:「卒業生に訊く! -7- 」
- interview-17:「卒業生に訊く! -6- 」
- interview-16:「卒業生に訊く! -5- 」
- interview-15:「卒業生に訊く! -4- 」
- interview-14:「卒業生に訊く! -3- 」
- interview-13:「卒業生に訊く! -2- 」
- interview-12:「卒業生に訊く! -1- 」
- interview-11:「海外留学インタビュー」
- interview-10:「実用化に適したロボット創りを目指す」
- interview-09:「超人技ロボット」の開発
- interview-08:「卒業後の進路は?」
- interview-07:「新しい教育スタイルへのチャレンジ」
- interview-06:「蝶型の飛翔ロボットの実現を目指して」
- interview-05:「完全優勝したロボカップジャパンオープン2009(ヒューマノイドリーグ)」
- interview-04:「興味から専門:ロボット創造」
- interview-03:「プロの夢 ―― 18mのガンダムをつくる」
- interview-02:「ロボカップヒューマノイドリーグへ向けて」
- interview-01:「入学後半年経た一年生にナマの声を聞く」
「卒業生に訊く! 」 未来ロボティクス学科2期生の柴野さんに就職してからの今を訊く
聞き手: | 社会で活躍している未来ロボの卒業生に様々なお話を伺う「卒業生に訊く!」,シリーズ第8回ですが,今日は,2期生の柴野さんに来ていただきました. 現在就活中の後輩たちに先輩としてエールをお願いしたいと思っております.宜しくお願いします. では,自己紹介からお願いします. |
柴野さん: | (株)フロム・ソフトウェアの柴野です. ゲーム会社のプログラマーです. 今は3年目で,ゲームタイトルをまだ仕上げていないので新人同様です. |
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聞き手: | 仕上げる? |
柴野さん: | ひとつのゲームは,「企画」+「プログラマー」+「グラフィックデザイナー」などで制作されていて,だいたい3年程度かけて1タイトルが出来上がります. ですので,まだ自分が開発に参加して発売された=「仕上げた」タイトルがない新人という感じです. |
聞き手: | なるほど.ではまず,会社の紹介をお願いします. |
柴野さん: | はい.(株)フロム・ソフトウェアは,PlayStation®4,Xbox One,パソコン等のゲームを作る会社です. 開発者は200名ぐらいで,同時に複数のゲームタイトルを制作しています. いわゆる「萌えげー」ではなく,「カタイ」ゲームを作っています.(と個人的に思っています.) 会社の規模の割には大規模なものを作っていて,開発の全てのプロセスに携わっています. 社風としては,意見交換がしやすい空気で,そこに関してはあんまり先輩や上司の壁がないように感じます. ゲームの内容について,激しく(時には身振り手振りしながら)議論しているのをよく見かけます. |
聞き手: | それはいい環境ですね.では,そのような職場で,現在どのような仕事をされているのでしょうか. |
柴野さん: | 先ほどお話した三つの仕事,「企画」+「プログラマー」+「グラフィックデザイナー」のうちの,プログラマーをしています. 主に,企画の提案を実装する人ですね. 仕様の相談なども受けます. 言語としては,メインがC++,それから,C#,Rubyを使っています.外部の物理エンジン(力学を考慮してシミュレーションするソフトウェア)も使ったりしています. 言語は,状況によって使い分けています. |
聞き手: | 多くは企業秘密なのでしょうね.素人には「プログラマー」と「グラフィックデザイナー」と垣根が分からないのですが. |
柴野さん: | 「グラフィックデザイナー」は,2Dデザインや,3Dモデラーとしての仕事をしています. 主に,美大出身や3Dツールを使ってCGを制作する、いわゆるデザイナーです. |
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聞き手: | そういうことですか. コンピュータゲームソフト制作会社は学生にとっては就職最難関のひとつだとおもいますが,どんな就職活動でしたか. |
柴野さん: | プログラムに興味があったのでIT業界には決めていました. 中でもAI(Artificial Intelligence: 人工知能)とかが好きでゲーム業界にしました. 趣味でゲームも作っていましたので. |
聞き手: | どんなゲームを? |
柴野さん: | シューティングゲームです. ゲーム会社はたくさん調べて悩みました. ホームページをみたりして,想像して,相当悩みました. 最終的には,自分のやったことのある某ロボットゲームを作っていたのでフロム・ソフトウェアを選びました. 実際の採用プロセスは,普通です.リクナビにエントリーして,面接して. 役員面接には自分の作ったプログラムを持って行きましたが,自作した物理エンジンを否定され,評価は厳しかったですね. でも合格しました. 当時は受かったのが不思議でしたが、積極的にプログラミングを勉強し,物理エンジンやゲームを自作した実行力を評価されたと最近聞きました. |
聞き手: | 学生の評価基準と人事の評価基準は違うのでしょう. なんにせよ,今に繋がってよかったです. 学問の世界にいる人間としては,ゲームの世界でもリアリティーを追求して欲しいですけどね. 運動方程式を解いて... でも,魔法が使えなくなってしまいますね.巨大ロボットの二足歩行も無理かも. さて,柴野さんが来ると言うことで,学生たちがざわついておりまして,質問を預かっていますが,ここでは聞けないことばかりです. いくつかチョイスしてみました.答えられるところのみお願いできますでしょうか.
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柴野さん: | 開発環境は,先ほどもお話しましたが,C++がメインです.ゲーム本体ですね. GUIが強いので周辺の補助としてC#も使っています. また,自動処理のために,RubyとかJavaScriptとか使っていたりします. 状況によって使い分ける感じです. ゲームタイトルに関しては,ホームページをみてください(笑). |
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入社前後の価値観の違いですが,学生時代は妥協せずに何事にも全力でした.出来るまで時間をかけていました. でも仕事には期限があるので,大切なところ,やりたいところに力を入れるために,他のところは力を抜く,ということを学びました. このへんですかね. どういうゲームを作りたいかは,会社の方針によります. 自分が好きなゲームを作れるわけではないので. | |
聞き手: | それはそうですね.時間の使い方も大切です. さて,次に,大学時代のお話をお聞きします.まずは,未来ロボを選んだ理由はなんでしたか. |
柴野さん: | 高校時代は,ITやプログラムに全く興味がなかったですね. 空手をやっていたので,パワードスーツ(人の筋力を強化するロボットスーツ)を作りたかったです. そんな中,当時出来たばかりの未来ロボの新しさに魅かれました. 大学に入ってからは,OpenGL(コンピュータグラフィックスAPI)の授業でプログラムの面白さに魅かれました. |
聞き手: | では,大学時代に一番打ち込んだことはなんでしたか. |
柴野さん: | 研究ですね.ずいぶん苦労しました. 内容の難解さにずっと悩みつづけました. 研究以外は,ゲーム制作です.3Dのシューティングゲームを作っていました.自分で物理エンジンを作って. といってもオイラーの一次式で運動方程式を積分する簡単なものですが. 当たり判定(衝突計算)は大変でしたね.線と面の接触,面と面の接触,どう工夫して,どう速く計算するのかとか. |
自作物理エンジンで、凹図形も凸図形も動きますよ、という当時のプログラム | |
聞き手: | この辺が今の仕事へと繋がっているのですね. さて,柴野さんは,卒業後,大学院へと進学しました. 大学院に進んだ理由はなんでしたか. |
柴野さん: | 大学卒業あたりにゲームに興味を持ち始めました. 自作のゲームを作っていて,自分はまだ修行不足だから大学院へ行って鍛えるのだ,という気持ちになりました. |
聞き手: | 確かに大学院時代はずいぶん頑張っていましたね.プログラミング能力は飛びぬけていたような気がします. では,最後に学生たちにメッセージをお願いします. |
柴野さん: | 研究に手を抜かないで頑張ってください. 研究に手を抜くぐらいなら,大学院ではなく,就職してから学んだほうがいいです. |
聞き手: | 本日はありがとうございました.活躍を期待しております.
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