アレクサンドリアの旅

2025年夏,日本設計工学会の国際会議ICDES2025(The 6th International Conference on Design Engineering and Science)で研究発表すべく,菊池研の修士軍団がエジプトのアレクサンドリアに行ってきました.ここは地中海に面した歴史ある小さな港町です.

出発前,学会発表が初めての学生の他,海外が初めてもおり,食事が合わなかったらどうしようということで,日本にひとつしかないというエジプト料理コシャリの専門店で予習.が,これ無理です,という学生が現れ,カップラーメンをスーツケースいっぱいに持っていくことに(あんなにも親切にマスターが食べ方を説明してくれたのに...).そして,海外用SIMカード,google翻訳の日本語→アラビア語,現地用変圧器,PCバッテリー,あつい研究魂,いろいろ用意していざ空港へ.

空港に着いたら,一緒に学会に参加する他大のグループと合流,ごあいさつ.一日一便しかないのでみんな同じ便.心強い.と思ったら既に体調不良の学生がどんよりした顔.大阪万博に行ってきたとか.なぜ,このタイトスケジュールで行く!?.初手から厳しい.とりあえず,しばらく日本食が食べられなくなるので,元気な学生と牛丼へ.ラーメンにも後ろ髪をひかれつつ出発.真っ暗闇の中,眼下に広がる羽田のあかりを後にしました.

トラブルやらなんやらで乗り換えのカタール・ドーハで8時間足止めされつつも,アレクサンドリアに到着.ホスト大学のエジプト日本科学技術大学(E-JUST)の皆様がお出迎え.超安全にホテルへ(ありがとうございます!).さすがにサハラの夏は暑いかと思いきや,体感は明らかに千葉の方が暑い...で,まずは携帯を現地仕様に,と思ったらSIMカードが認識されず学生の携帯にテザリング(なぜだ!).一方,硬水が苦手な学生は着いたとたんに軟水探索の旅へ.最終的には,成分表を見ただけで軟水かどうかわかるように...そんなこんなで現地到着初日は暮れていきました.

大会初日はレジストレーションの日.登録だけ済ませて大人は飲みへ.イスラムはお酒飲めないとのことで日本人だけでちゃっかり前夜祭.学生たちは観光へ.アレクサンドリアは地中海の海岸線がとても美しい.海も空も青,青.絵葉書の世界です.しばし仕事を忘れる.

二日目いよいよ新アレクサンドリア図書館で会議.両国の国歌で開会セレモニーが始まりました.ロボット工学の重鎮,F先生が副学長をされているとのことでご挨拶.お変わりないバイタリティーに圧倒されました.E-JUSTは日本の教育システムを採用しているとのこと.つづくキーノートスピーチも大変興味深く,勉強になりました.アフリカで最大のクリーンルームをお持ちだとか.その後セッション,図書館見学会,そして地中海に沈む夕日を見ながらウェルカムパーティー,カイトベイ要塞へ.

三日目はE-JUSTに移動して開催.発表がある学生たちは我に返り,準備へ.なんやかんやであうあうしながらもなんとかみんな発表.英語の大切さを再確認.質問してくれた方々とも仲良くなれました.そして,ご支援いただいた共同研究企業にも感謝.なんとか大役を果たしました.これでアフリカからも発注来るはずです!JICAの教育システム支援の話もためになりました.教育の輸出も大切ですね.夜はプレッシャーから解放されてガラディナーへ.2時間延々踊り続けるお国柄.あ!,Best Paper Award Ceremonyの時間がない!

最終日は朝6時にホテルをチェックアウトしてカイロへ.ゆっくり博物館を見学して,ピラミットの前でフェアウェルランチ(ここで来たか,コシャリ!).Best Paper Award Ceremonyもやっと開催.受賞者の皆様,おめでとうございます!副賞の楯は石のため重すぎて現地に持ち込めないとか.でも,エジプトにちなんでヒエログリフですね.そして長かった旅も終わり,カイロ国際空港,懐かしの日本へ.と,ここで「バサボルト,プリーズ」.あっ,パスポートか,エジプトはPの発音ないんだった.最後の最後でエジプト入門コースに引っ掛かりました...

ありがとうエジプト,ありがとうアレクサンドリア.次回は,仕事ぬきで来ます!

第7回対話システムライブコンペティション 優秀賞

人工知能学会 言語・音声理解と対話処理研究会(SIG-SLUD)で開催された対話システムライブコンペティションで未来ロボティクス学科 藤江研究室のチームが優秀賞を受賞しました.

対話システムライブコンペティションとは,オーディエンスの前で実際に対話システムを動作させ,評価を行うイベントです.対話システムに関するコンペティションはいくつか開催されていますが,このコンペティションは実システムとユーザとの会話をその場で評価されることで競い合う,ライブ感を大切としていることに特徴があります.今回実施されたコンペティションでは,愚痴を聞く対話システムを構築するシチュエーショントラックと,観光地案内を行う対話システムを構築するタスクトラックの2つのトラックが設定されました.

藤江研究室の学生で構成されるチームCITAR(Chiba Institute of Technology, Advanced Roboticsの略)は,今回シチュエーショントラック,タスクトラックの両方にエントリーしました.シチュエーショントラックで予選3位となり通過,タスクトラックは予選4位となり惜しくも予選敗退となりました.3月21日に行われたシチュエーショントラック決勝においても第3位となり優秀賞を受賞しました.また,同時に開催された研究会において,提出したシステムに関する研究発表を行いました.

日本ロボット学会誌論文賞

2022年に日本ロボット学会誌に掲載された上田研からの論文が、日本ロボット学会第38回学会誌論文賞に選ばれました。ヤンマーホールディングス株式会社さんとの共同研究でした。(現在は契約期間が終了しています。)

内容については上田研究室のページのとおりで、畑に植わっている葉や茎の茂った作物の木から、葉・茎・背景を識別し、さらに葉に隠れた茎がどこにあるか推定して見えている茎とつなぐというものです。この分野は進歩が早いのですが、当時はリアルに作ったコンピューターグラフィックを使って識別器(一般にはAIと呼ばれるものの一種)を学習させ、ほぼ緑色の画像から葉や茎を検出できるようにしたことが画期的でした。上田は理屈は分かるもののCGも深層ニューラルネットワークも直接扱ったことがないんですが、当時の学生さんにいろいろ無理をお願いして、なんとか形にできました。

ステージ上で映っているスライド
どら焼きくらいの大きさの重たい巨大メダルもいただきました

表彰式の後は懇親会があり、上田はビールを飲みすぎましたがそんなことはどうでもよく、とにかく共著者のみなさま、契約関係や特許関係でいろいろ面倒を見ていただいた事務方のみなさま、候補の論文をグエーと言いながらたくさん読んだ表彰委員の皆様、たいへんありがとうございました。

ロボティクス・メカトロニクス講演会2024で26件の講演

2024年5月29日(水)~6月1日(土)にライトキューブ宇都宮で開催された日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2024において,未来ロボティクス学科・専攻の学生・教員が合計26件の発表を行いました.
当日は全国から多くのロボット研究者が集まり,熱心な議論が交わされました.

発表タイトル
・4足歩行ロボットの慣性安定制御
・受動歩行原理を用いた動歩行二足ロボットの開発
・ベルトに直交方向の異方性摩擦がある素材を用いたクローラ型全方位移動ロボット
・斜めのグローサで不整地を横移動するクローラロボットの開発
・スタック防止形状を有する泥濘地移動クローラロボットの開発
・LiDAR による自己位置推定が破綻した際のGNSS 測位可能な場所への自律移動ロボットの誘導
・造形温度・ノズルの違いによる3D プリント造形物の強度変化
・カラーカメラベースの自己位置推定におけるCNN を用いた推定の信頼度評価法の適用
・視覚と行動のend-to-end 学習により経路追従行動をオンラインで模倣する手法の提案
・中干し後の水田除草用ヘビ型ロボットの開発
・水面付近におけるトビウオの滑空特性の解明
・トビウオのタキシング時における尾鰭捻りの力学特性の解明
・翼端の運動軌跡に基づく空力特性の解明
・水田除草用ヘビ型ロボットの開発
・コンクリート壁面の鉄筋探査を行うブロア式壁面走行ロボットの開発
・強化学習によるPD 制御のフィードバックゲインの最適化
・トンネル天井走行ロボットの開発
・4つのアルキメディアンスクリューを用いた不整地走行ロボットの開発
・方向可変な車輪を有する8 輪運搬ロボットの開発
・ワイヤーを用いた周長可変式柱検査ロボットの開発
・サイドワインディング推進を目的とした省自由度ヘビ型ロボットの開発
・省自由度蛇型ロボットの移動軌跡の最適化
・クモヒトデを規範とした全方向移動ロボットの開発
・変形量を拡大した連結可能な空圧屈曲モジュールの開発
・マルチエージェント強化学習によるサッカーヒューマノイドロボットの協調動作生成
 物理シミュレーション環境を用いた学習の高速化
・SUSTAINA-OP™: 持続可能性を重視した子供サイズの オープン ハードウェア プラットフォーム ヒューマノイド ロボット

日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会に学科から21件の発表

2022年6月1日から4日にかけて北海道で開催された日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会2022において,未来ロボティクス学科の教員と学生が合計21件の発表(連名を含む)を行いました.

しばらく講演会は遠隔で実施されてきましたが,ようやく対面での講演会が開催され,多くの大学院生と学部生が北海道へと足を運びました.コアタイム45分の発表会ですが,質問が多く飛び交う良い雰囲気の中で進められました.

未来ロボティクス学科では研究も活溌に行っており,大学院生と学部生は頻繁に講演会などでその成果を発表しています.

ROBOMECH2021

もう1ヶ月前のことになりますが、日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門の大きな学会「ROBOMECH2021」がオンラインで開催されました。今年も当学科からは多くの発表がありました。今年もこんなに発表していますよ!と新習志野にいる1、2年生に知らせて目標にしてもらいたいのですが、学科で取りまとめをしていないので、とりあえず分かっているものだけ掲載します。

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